ナース指導者が教える 輸血とはなに 今すぐわかるコツとは 基礎から実践まで
今回は輸血の基礎から実践までを経験に基づいて書きたいと思います。毎日輸血はありませんが時々輸血の指示が出た際に不安に感じる時もあります。そのような際に参考にしていただければいいかと思います。
輸血とは
血液は細胞成分(赤血球、白血球、血小板)と血漿成分からできています。十分な血液成分を作れない場合や大量出血により生命に危険が生ずる場合にはそれらを補う必要があります。それを補う方法が輸血療法であり、補うことのできる成分は主に赤血球、血小板、血漿成分及び凝固因子です。
輸血の適応とリスク
輸血は補充療法であり、根本的治療ではありません。また臓器移植と同様の医療行為であり、感染症や免疫学的副作用。合併症が生じるリスクが存在します。血液製剤が本質的に内包するリスクを認識し、リスクを上回る効果が期待されると判断された場合にのみ行う必要があります。言い換えれば輸血療法を行わないと患者さんの生命に危険が及ぶ、あるいはその状況が予想される場合に輸血を選択します。
輸血の種類
輸血には採取された血液をそのまま用いる「全血輸血」と患者さんにとって必要な血液成分のみを血液から取り出して用いる「成分輸血」があります。
成分輸血
赤血球製剤・血小板製剤・血漿製剤の3つに大きく分けられます。患者さんにとって必要な成分を輸血します。患者さんの負担も全血輸血に比べ少ないです。
自己血輸血
自己血輸血とは、手術時の出血の際に自分の血液を手術中または手術後に輸血する治療法です。術直前採血・血液希釈法(希釈法)、出血回収法(回収法)、貯血式自己血輸血法(貯血法)の3つが方法があります。
輸血用血液製剤の種類
輸血用血液製剤の種類には主に、「赤血球製剤」「全血製剤」「濃厚血小板製剤」「新鮮凍結血漿」や「血漿分画製剤」があります。
輸血後GVHD(移植片対宿主病)を予防するため赤血球液や血小板濃厚液には放射線照射を行います。放射線照射(15から50Gy)が行われた製剤には『lr』が表示されます。また日本赤十字社から供給される製剤は全て白血球除去製剤っとなっており製剤に『LR』が付けられています。
赤血球製剤
全血製剤と成分製剤(人赤血球液、洗浄赤血球液、解凍人赤血球液、合成血)があり、それぞれに献血後GVHD予防のための放射線照射があります。組織や臓器へ十分な酸素を供給することが目的とされます。
血小板製剤
血小板成分を補充することにより止血を図り、出血を防止する。輸血後GVHD予防のための放射線照射血があります。血小板製剤は振盪しながら保存します。静置すると血小板の代謝によって生じる乳酸が原因でPHが低下し血小板機能障害が起こり輸血の効果が低下します。血小板のバックはガス透過性があり振盪することにより乳酸と重炭酸と平衡反応により生じた二酸化炭素が放出されやすくなり、PHと血小板機能を保持できます。濃厚血小板ーLR「日赤」、照射濃厚血小板ーLR「日赤」
血漿製剤
凝固因子の欠乏による病態の改善を目的に投与します。止血の促進効果(治療的投与)をもたらします。
血漿分画製剤
血漿分画製剤にはアルブミン製剤、免疫グロブリン製剤、血液凝固因子製剤などがあります。
アルブミン製剤
等張アルブミン製剤(5%アルブミン製剤、4.4%加熱ヒト血漿蛋白)と高張アルブミン製剤(20%アルブミン製剤、25%アルブミン製剤)があります。有効期限は30℃以下の室温保存で2年間です。
免疫グロブリン
免疫機能の改善、感染症予防及び治療、炎症症状や神経症状の改善等を目的に投与されます。その他もあります。
参考サイト:ナース専科
貧血
貧血とは酸素を送り届ける働きをする血液中のヘモグロビンの量が少なくなることで全身が酸欠状態になります。原因によって分けることができますがヘモグロビンの材料となる鉄分が不足することで起きる鉄欠乏性貧血で、このほかビタミンB12・葉酸など栄養不足や何らかの病気、治療薬が原因で貧血が起こることもあります。
貧血で輸血が必要な基準
全身状態が良好な場合はヘモグロビン(Hb)値6g/dl以下が一つの目安となる。Hb値が10g/dlを超える場合は輸血を必要とすることはないが6g/dl以下では輸血はほぼ必須とされている。
血小板
血小板数が2〜5万/μLでは止血困難な場合には血小板輸血が必要となる。血小板が1〜2万/μLではときに重篤な出血を見ることがある。5万/μL以上では輸血は必要となることはない。
血漿
血漿には各種の凝固因子が含まれ血小板と協働して止血を止める役割があります。白血病や再生不良性貧血などの血液の病気や抗がん剤などの薬の副作用により赤血球や血小板を作ることができなくなることがあります。肝硬変や薬の副作用などで凝固因子などを作ることができなくなることがあります。そのときに輸血を行います。
輸血の実施
準備・施行
- 家族と本人へ説明し同意書を取ります。
- 検査課と指示書確認します。
- 主治医指示にて輸血準備できたらクロスマッチをとります。(輸血前採血)
- 輸血前にバイタルサイン測定を行います。
- 18G 、20G サーフロにてルート確保します。(輸血用生食100ml滴下開始)
- 主治医と看護師で輸血の名前、血液型、ロット番号、有効期限確認。(私の病院の場合は電子端末とバーコードを通します)
- 輸血用生食の側管より輸血開始します。(主治医と見守り)
- 2〜3分主治医と経過見て5分経過よければ主治医は離れます。
- 5分後15分後まで経過見てバイタルサイン、変わりなければそのまま滴下します。血管痛、胸部不快感。胸痛や腹痛がないか確認します。(不適合輸血の症状)
- 輸血の開始の滴下速度は成人の場合は1ml/分で投与します。(15分後まで)
- 15分後から主治医の指示の滴下に変更する。30分ごとに患者の状態を確認する。
- 輸血終了にてクレンメを閉じ生食を滴下、バイタル測定を行い、主治医へ報告。生食終了後抜針となります。
輸血終了後
副反応がないか観察を継続して行います。状態の変化が少しでもあれば主治医へ報告します。
輸血後副反応
- 急性溶血:輸血後24時間以内に発熱、呼吸困難。血圧低下、血管痛、赤褐色尿、胸痛、腹痛。腰背部痛。
- 遅発性溶血:1〜28日以内に上記症状出現。
- 重症アレルギー反応(アナフィラキシー反応):輸血直後から24日以内に血圧低下(収縮期血圧30以下)、掻痒感、かゆみ、発赤、顔面緒紅潮、呼吸困難、意識障害。
- 輸血関連急性肺障害(TRALI):6時間以内に呼吸困難、喘鳴、発熱、血圧低下。
- 輸血関連循環負荷(TACO):6時間以内も呼吸困難、血圧上昇、動悸、頻脈。
- 細菌感染症:4時間以内に発熱、呼吸困難、嘔気、嘔吐、血圧上昇、意識障害。
- 輸血後GVHD:1〜6週間に発熱、発赤、顔面紅潮、発疹、蕁麻疹、胸痛、腹痛、腰背部痛。
- 輸血後紫斑病:5〜12日出血班が出現する。
注意点
- 輸血バックは破損しやすいため輸血ルートを指すときは注意して行う。ルートを満たす際もゆっくり満たす。
- 電子レンジでの融解は不可。ビニールに入れたままFFP融解装置を使用し、赤血球は自然な状態で滴下開始する。
- 血小板製剤は水平回転型・振盪器(20〜24℃で管理必要)
参考サイト:看護roo
最後に
今回は輸血についての基礎から実践までを書いていきました。私も改めて勉強し副作用に注意して行うことの必要性を再度確認しました。私の病棟も毎日行うわけではありませんので実施する際にマニュアルを見直してから実施するなどを今後も行っていきたいと思います。専門知識は他のサイトにて確認して書きていきましたが不足な面もあると思います。私の病棟で行っている内容も含めていますので違いがある病院もあるとは思いますが少しでも参考にしていただけると嬉しいです。ありがとうございました。
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