ナース指導者が教えるエンゼルケア 逝去後に行う家族との関わりとは
今回は看護師となれば必ず行う、エンゼルケアですが、私も新人の頃には不安に感じていました。今はきちんと病院によってマニュアルがありますが、亡くなられたご家族がお化粧をされた患者さんを見て笑顔になることも何回もあります。ご家族へのケアも必要となりますので悩まれている方は参考にしていただけたら嬉しいです。
エンゼルケアとは
死後に行う処置、保清、エンゼルメイクなどの死後のケアのことで逝去時ケアとも呼ばれます。
死後に行う処置
病院によって死後に行う処置方法は違いがあると思います。私が新人の時20年前くらいは綿を鼻や、お尻に詰めていましたが今はしていません。
- 点滴を使用していた患者さんは点滴を抜き、綿花で保護、止血を確認後除去する。
- フォーリーカテーテル挿入中の方は抜去する。
- 胃ろうボタンを作っている方は蓋がある場合は蓋をして見えないようにガーゼを当てる。
- 胃ろうを作ったばかりでバンパーがある場合はチューブを切りバンパーとチューブを切り離します。(これも病院によってやり方には違いがあると思います。)その後ガーゼで保護します。
- CV挿入中の方は縫合している糸を切り抜去し、刺入部をガーゼ保護します。
- パウチを使用していた患者さんに対しては新しい分に変えて見えないようにガーゼ保護したり、パウチをつけない場合はガーゼにて保護した後オムツパットで保護したり、状況に応じて対応の仕方は変わります。
- 死後のケアをしている間に死後硬直が始まってしまい、口が開いてしまっている方もいらっしゃるので一番に義歯を入れ口を閉じるように顎の下にタオルを入れます。
保清
スタッフ2名にてケアや処置は行いますが、お湯を準備しタオルを使用して顔から手、体、足を拭きます。陰部洗浄した後に新しい紙オムツを使用し、ご家族へ確認し着せたい服を着せていきます。葬儀社が改めて綺麗にされますので病院でできることを行います。洗髪はする場合もありますが私の病院はドライシャンプーを使用して清潔を保ちます。爪が伸びている患者さんは切ることも行います。
エンゼルメイク
メイクの物品は病棟で準備されています。乳液で肌を保護しクリームファンデーションを塗ります。その後頬紅を塗ります。眉毛を整えたり、口は乾燥しているのでワセリンで整えた後口紅をつけて自然な色にします。ご家族が女性の方は一緒にすることを促し看護師とご家族で行うこともあります。手に塗る保湿剤を顔の下地に塗ると化粧が馴染みます。
エンゼルケアを始める前に行うこと
- エンゼルケアを行う前は医師、家族、看護師で死亡確認
- ご家族と患者さんの時間を設ける
- 落ち着かれた後葬儀社を決めていただく
- 葬儀社の迎えの時間に合わせてエンゼルケアを行う
- 病院には30分以上はいていただき死亡に変化はないかも確認(1時間後に葬儀社の迎えを依頼することが多い)
- 死亡確認のご家族以外に会うご家族もいる場合もあるのでご家族へ状況を確認する
- 医師に死亡診断書を書いていただき、金額支払い後ご家族へ渡す
エンゼルケア後に行うこと
- 葬儀社の迎えの時間がわかっているのでそれまで病室か霊安室へ案内する
- 葬儀社の迎えが来たら見送る
- カルテに死亡までの記録を行う
逝去後に行う家族との関わり
家族と関わることはとても緊張するとは思いますが誠意をもって関わることが大切です。大切に思っていたご家族が亡くなられた心情を理解し、会話をすること、業務に追われている中逝去されることもありますが、ゆとりをもって流れを説明し見送ることが大切です。ご家族は逝去後の手続きがわからないことが多いため理解した上で説明を行いましょう。
ナース指導者が気をつけていること
- 自分が行うことをわかっていないとできないので流れをきちんと把握する
- 死亡後はご家族は不安になられているので話を傾聴して進めていく
- 勤務の状況によってスタッフの配置を考えながらエンゼルケアを行います(スタッフの協力で行います)
- 後でトラブルのないように記録はきちんと書き、死亡への状況も医師よりご家族へ説明をきちんと行い、受け入れ状況などもきちんと記録する。
- 葬儀社がわからない時は病院によってマニュアルがあるので葬儀社の連絡先見せてご家族へ選んでいただく
- 死亡診断書も書き方があるので病院マニュアルを参照し対応する。
最後に
新人の頃は私も患者が亡くなられることで精一杯でその後の処置やご家族との関わりは業務に慣れたリーダーが行っていました。今は私がリーダーとなっているので全体を見て流れを把握し、スムーズに行えるように行動していきます。まずはご家族への配慮が大事であることを念頭に置いてエンゼルケアを行うことでご家族も患者さんを快く見送ることができると思います。よければ参考にしてください。見ていただきありがとうございました。
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