経験年数20年以上のナース指導者が教える 点滴を行う時のトラブル対処方法とは
私は看護師20年以上していますが、点滴を行う前の血管探しをするときに血管が見つからない人、点滴を何度も行い、血管が破けて皮下出血になっており、穿刺するところがない人、また皮膚が脆弱でテープやアルコールも使えない人など点滴施行時のトラブルもいくつもあります。新人の頃やまだ点滴が苦手の頃は先輩に頼っていましたが今は自分で対処できます。その対処法をお知らせしてみなさんに点滴をする際に役に立ててほしいです。不安に思われている方や実際どうしたらいいかわからない方は見ていただくと嬉しいです。
点滴を行う際のトラブル
点滴を行う前
- 皮膚が脆弱
- 血管が細い
- 駆血帯をしても血管が出現しない
- 両上肢、点滴と手術後で下肢で点滴をしないといけない
- 患者が暴れて点滴を行うことができない
対処法
- 皮膚が脆弱な時は駆血帯を巻く際は皮膚剥離予防のため必ず服の上から巻くようにする。
- 血管が細いと思う時は24G以上の細いサーフロ針を使用する。
- 駆血帯をしても血管が出現しない場合は手が冷たい場合があるので保温する。
- 両上肢点滴できず、下肢で点滴する際も関節部位以外の血管を探す。
- 患者が暴れて点滴を行うことができない場合はスタッフ数名で押さえて行う場合もあるが落ち着いたあとに行うことのほうが多い。
点滴を行った後
- 刺入部からの漏れ
- 患者の自己抜針
- 刺入部周囲の発赤(静脈炎)
- 滴下不良
対処法
- 刺入部からの点滴もれは穿刺直後も確認できる場合はすぐさしかえを行いますが、しばらく点滴した後に漏れる場合もあります。訪室時に刺入部の確認を適宜行い、漏れている場合はさしかえを行います。
- 患者の自己抜針については点滴ルートを本人が触らない位置に固定したりルートを袖からでなく襟から出したりして対応しています。また必要時はミトンや抑制帯を使用する場合もあります。何度もさしかえを予防するためにヘパリンや生食ロックをする場合もありますが何度も抜針する場合はロックせず毎回抜き差しで対応することもあります。
- 刺入部周囲の発赤については、点滴内容が合わず静脈炎を起こし、静脈に沿って発赤になっていることもあり、また刺入部周囲が発赤になっている場合もあります。アルコール綿でまけている場合もあるので観察は必要です。その時はさしかえまたはアルコール綿については別の消毒綿を使用します。
- 滴下不良については体位交換やオムツ交換時ルートを下敷きにしていたりルートの屈曲で起こる場合があるので必ずルートの位置を確認することが必要です。
私が行っている点滴をトラブルなく行えるコツを紹介
- まずは血管を探す際に太い血管がある場所を知っておく
- 以前穿刺していても数日経っている場所は穿刺できることもあるためできるだけ太い血管を探す
- 関節はなるべく避けるがない時はその場所も考慮する(漏れる危険性もあり)
- 浮腫など皮膚脆弱な患者が多いため、下肢が無理な場合は諦め主治医へ早めに相談しておく(皮下注射をしばらくすることで血管を休める方法をとる)
- 自己抜針する患者は上腕に穿刺し頸部からルートを出す(またさわれないように包帯で袖を保護したりする場合もある)
最後に
点滴トラブルを防止するにはきちんと刺入部の確認、滴下確認、皮膚トラブルに注意し血管に入らない時はスタッフに協力してもらい患者に負担をかけないようにすることが大切と思っています。点滴を穿刺する前も穿刺後もいくつも観察点が必要です。患者の皮膚やADL、認知症の状況でも対応の仕方に違いがあります。点滴にはトラブルがたくさんありますが回避するためにきちんと対策方法を知っておく必要がありますし、経験を積んで対策方法を学んでおくことが大切です。みていただきありがとうございました。
点滴について別ブログを作っています。よかったらこちらも見て行っただけるとわかりやすいかと思います。
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看護師23年目、実習指導や子育ての様子を楽しくお伝えするブログです。看護師が教える点滴の仕方を書いています。お悩みの方もこれを見て明日への励みになっていただけると嬉しいです。
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