ナース指導者が看護学生向けにバイタルサインの基本とコツを教えます
今回は今まで看護師として何度も測定したバイタルサインの基本と測定のコツを看護学生へ向けて書きたいと思います。看護学生や看護師になってもバイタルサイン測定は基本であり必要事項です。その基本を理解し、きちんと測定しなくてはいけません。そのためにどのようにしたら上手に測定できるかをお知らせしたいと思います。よかったら参考にしてください。
バイタルサインとは
バイタルとは医療や介護の現場で体調を客観的に評価する指標となる数値を総称した言葉で「生命徴候」ともいいます。バイタルサインの測定項目は主に「脈拍・呼吸・血圧・体温」ですが集中治療室では意識レベル、尿量も含めた6項目が含まれます。バイタルサイン測定し正常であるか、異常がないかを確認することをバイタルチェックと言います。
バイタルサインの正常値
バイタルサインの正常値は高齢者、成人、小児と違いがあります。寒暖や男女、年齢などで違いがありきっちりとした値ではなく、変動があります。体温や脈拍は小児のほど数値は大きく、血圧は高齢になる程数値が大きくなります。呼吸回数は小児の方が数値が大きいです。しかし、安静と労作した後でも値は変わります。
参考サイト:看護roo
意識レベルの評価
救急の場合は意識レベルもバイタルサインに含まれることがあります。意識レベルの評価は多くの場合はJCS(Japan Coma Scale)もしくはGCS(Glasgow Coma Scale)を使って評価されています。
JCS
JCSを使用して意識レベルを判断し記録に残しています。病院ではJCSを使うことが多いです。脳梗塞後や急変時になどに意識レベル低下をすることが多く、評価します。
GCS
GCSは世界的に使われているスケールでJCSとは逆に数字が小さいほど意識レベルが低いとされます。
酸素飽和度
呼吸数とともにSPO2(酸素飽和度)を測定します。酸素飽和度測定医を指に挟み測定します。安静時の健常者のSPO2値は96%〜98%の範囲にあります。90%未満にあると呼吸不全と定義されます。症状としては呼吸困難が起こります。そのため酸素を開始します。呼吸器疾患を持っている患者さんは酸素を使用していることが多いため定期的にSPO2を測定し確認します。
バイタルサイン測定方法
体温
体温計は一般に売られているもの(腋窩用)とコロナ蔓延時に使用した額の近くにセンサーを当てると数値が出るものがあります。一般的に病棟でもこの2つが使用されています。体温計はものによっては数値が低く出やすいものの熱の数値が高くでやすいもの、短時間で測定するものなど様々、数値が高値であれば何度も測定しなおします。腋窩は汗で湿っている場合は乾燥したタオルで拭き、その後腕に対して30〜40°で挟みます。体温計は測定後は感染予防のためアルコール綿で拭き乾燥させます。熱の定義は37.5℃以上、高熱は38.0℃以上です。(日本感染症法より)熱は筋肉や肝臓で作られ血管拡張、収縮、呼吸、発汗などにより放出されます。
脈拍
脈拍を測定する際は橈骨動脈(手首の脈)に触れます。患者さんの手のひらを上に向けてもらい手首の親指側に人差し指、中指、薬指の3本を当てて測定します。高齢者は微弱であることが多く、何回が触り確認してしっかり確認後回数を数えます。患者さんが意識すると回数が増加するので深呼吸をしていただくこともあります。
血圧
測定する時間は起床時もしくは就寝前毎日決まった時間に測定するといいと言われていますが病院では午前と午後食後に測定しています。内服後に測定すると数値が下がる場合があるためそれを考慮する場合は内服前に測定します。一般的には起床後1時間以内、トイレをすませ、服薬、食事前に測定するということになっています。
測定方法
正しい姿勢を保ち、マンシェット(腕帯)を素肌か薄手の肌着の上に巻きます。セーターなどの厚手の服は腕まくりをせず脱いでから測定します。測定の際は肘関節を伸展させ測定部位の高さは心臓と同じ高さにする。エアチューブは手のひら側にして腕の中心に来るように位置を調整しましょう。マンシェットを巻く位置は肘の関節部分にかからないように肘の内側のくぼみから1〜2cm上に巻きます。まずは触診法で最大血圧を推定し一旦マンシェット圧をゼロに落とします。肘の内側の上腕動脈の部分に聴診器をあてます。当てる前に脈拍が聞こえるか確認して当てます。カフを握り空気でマンシェットを膨らませて脈拍音が聞こえなくなるまで膨らませます。その後聞こえなくなったらカフのバルブを緩めて空気を1拍動2mmHg抜きます。脈拍音が聞こえたらそれが収縮期血圧、カフを再度緩めて脈拍音が聞こえなくなったら拡張期血圧となります。
呼吸数
呼吸数は脈拍数を測定した後そのまま呼吸している回数を1分間測定します。患者本人へ伝えると意識して回数が増加するため言わずに測定します。「吸って吐く」を1回と数え、胸やお腹の動きを見ながら1分間測定します。正常値は上記の表を確認してください。
バイタルサイン測定のコツ
- 新人看護師や学生は測定方法は丁寧に行う
- 脈拍が微弱で測定しにくいことがあるのでその際は自分の指先に集中し触る
- 臥床して測定するのか、座位で測定するのかは相手が楽な方法で測定する
- 測定時に手が冷たいと脈拍値や血圧値に影響をするので手は温めておく
- 15分以内で測定し患者に負担をかけないようにする
- 正常値と異常値を知っておく
新人看護師や学生は測定方法は丁寧に行う
新人看護師や学生は何度も学校で測定しているが基礎実習では初めてである慣れないことが多い。そのため患者さんに負担をかけないように丁寧に測定を行うようにする。
脈拍が微弱で測定しにくいことがあるのでその際は自分の指先に集中し触る
高齢者は脈拍が微弱で脈拍も血圧も測定できないことがあるため、その際はゆっくり脈拍を探し確認した上で測定する。指先で脈を触るとわかる場合もある。
臥床して測定するのか、座位で測定するのかは相手が楽な方法で測定する
座位が可能である場合は座位でも可、患者が楽な場合を考えて座位か臥床かを選ぶ。毎日測定している場合は前回と同じ状況の方が変動は少ない。
測定時に手が冷たいと脈拍値や血圧値に影響をするので手は温めておく
冬場はスタッフも手が冷たくなることはありますが、急に測定時に冷たい手で触られるのは脈拍や血圧値を変動させる可能性があり、考慮して行うことが大切である。
15分以内で測定し患者に負担をかけないようにする
新人や基礎実習では測定に慣れておらず時間がかかる。患者に負担をかけるため、15分以内で測定する。慣れない間は最初に時間を見て測定するといい。患者の状態を聞きながら測定する。
正常値と異常値を知っておく
基礎実習などの実習の時は測定することに一生懸命で測定値が異常かどうかの判断は難しい場合もある。きちんと正常か、異常かを理解した上で測定をしてアセスメントしましょう。
最後に
今回はバイタルサイン測定の基本と測定のコツを書きました。バイタルサイン測定は基本のため測定を熟知しておかないといけません。またそれが正常か異常かを判断できるように勉強しておきましょう。基礎実習や新人の時は測定もうまくいかないこともあると思いますが、まずは患者に負担をかけないように学生やスタッフと測定練習し実践するようにしましょう。
別のブログで実習指導の内容や、看護計画立案方法を載せているので確認してください。
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