ナース指導者が患者さんが入院中に行うVF・胃カメラ・大腸ファイバー検査の前処置・注意事項を教えます
病棟行っているVF検査、胃カメラ(CF)、大腸ファイバー(GF)はレントゲン、C T、MRI以外によく行う検査です。今回はこれらを中心に検査の基本と、前処置、注意事項をお知らせしたいと思います。宜しければ参考にしてください。
VF検査とは
VF検査とは嚥下機能低下を起こした患者に対し、食事形態を検討する上で行う検査です。元々誤嚥性肺炎や疾患治療に伴う絶食や脳梗塞後遺症などで嚥下機能低下を起こした患者に対して行うことが多く、サラサラの水分でも誤嚥が起こります。そのためバリウムを混ぜた水分にトロミをつけて嚥下し、嚥下機能を造影してとろみの付け方も確認していきます。元々言語療法士による嚥下訓練も行っていることがあり、言語療法士、医師、検査技師が参加します。吸引が必要な場合もあるため、看護師も同伴し、必要な時は吸引を行います。
前処置
食事は絶食ではなく摂取可、内服も可、絶食している患者は点滴をしていることもある。検査時は頭部の高さを調節して何度で食事摂取するのかも検討するためリクライニング車椅子(頭部の高さを調節できる車椅子)で検査を行います。必要時は枕も使用し頭部の高さを調節します。バリウムやトロミ剤は言語療法士が準備することが多く、看護師はリクライニングと吸引セットを準備しています。点滴の造影剤は使用していません。
注意事項
注意事項はもともと絶食の患者や食べることを忘れてしまった高齢者の患者もいますので誤嚥を起こしやすいため検査後も吸引を行い、発熱に注意します。VF後検査の結果を主治医へ伝え、主治医指示のもと食事形態が決定し食事が開始になることが多いです。食事介助は言語療法士が摂取介助を行うことが多いですが、毎日は来られないため食事介助方法は統一できるように壁に表記します。頭部何度、トロミの量、スプーンの大きさ、食後30分頭部を挙上するなどを表記します。表記したことを全スタッフが確認し統一した食事介助を行います。誤嚥をしたか、食事の摂取方法で問題がなかったなど3ヶ月程度評価表を記録します。
胃カメラとは
胃カメラとは上部消化管内視鏡検査と言われています。上部消化管とは口から十二指腸のことを言いますが胃カメラは胃だけではなく喉(咽頭・喉頭)から食道・胃・十二指腸までを観察することができます。
胃カメラとは胃の症状が続く際に、胃の症状の原因を確認する検査で異常が発見されると生検(組織を一部とって検査に出す)をすることができます。その後良性か悪性かわかりガンの早期発見を行うことができます。
胃カメラの際の麻酔
胃カメラはカメラを喉や鼻に挿入する際に麻酔が 行われます。希望に応じて点滴による麻酔を併用することもあります。
局所麻酔(表面麻酔)
口や鼻にスプレーやゼリー状の麻酔薬を塗布して感覚を麻痺させ痛みを抑えます。ほとんどの医療機関で使用されており副作用の心配はほとんどありません。
鎮静剤(セデーション)
少量の麻酔薬を注射して意識レベルを下げ眠っている間やボーとしている間に検査を行います。嘔吐反射が強い方や検査に対する不安の強い方におすすめです。検査後は麻酔が覚めるまでベッドで休む必要があります。
前処置
入院中での前処置は前日は食事制限はない。21時までは食事は済ませてそのあとは水分(水分、お茶)のみ摂取し、朝は絶食となります。内服は内容によって中止にしておかないといけない薬があります。血液をサラサラにする薬(抗凝固剤・抗血小板薬)は検査の際に組織検査を行う場合は処置後の出血を伴う場合があるため休薬する場合があります。主治医に確認して中止します。また検査当日は絶食になるため血糖降下剤は中止になる場合があります。インスリン注射を行っている患者は中止として検査後食事再開時に注射する場合もあります。すべて主治医判断となりますので、医師に確認が必要となります。胃カメラ前にガウンに着替えることもありますが、口腔内は感染源となりますので必ず検査前にマウスケアを行います。
注意事項
- 前処置で行う内容の医師への確認をきちんと行うこと
- 内服中止にするしないは医師への確認が必要となりますので前日までに確認しておきます
- 感染源となる口腔の汚れをとるためにマウスケアを必ず行う
- 検査後鎮静が継続する場合や口腔内や咽頭の麻痺が継続する場合もあるので1時間は水分は取れず、1時間経って水分摂取後可能なことを確認し食事を再開します。インスリンや血糖降下剤、中止薬の再開は主治医に確認する。
大腸ファイバーとは
大腸ファイバー(大腸内視鏡)とは肛門からカメラを挿入し大腸を調べる精密検査です。大腸がんや大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病などの診断や治療を行うことができます。大腸の粘膜の状態を確認でき、ポリープが見つかった場合はその場で切除できる。検査時間は10分から20分程度で行います。便潜血検査で異常を指摘された場合、腹部症状がある場合に検査を行い、大腸癌の早期発見・早期治療を目指します。
前処置
病院での前処置方法はマニュアルで決められています。前日の夜に下剤を内服し、当日朝から腸管洗浄剤を2時間程度かけて飲んでもらいます。その後8回から10回くらい排便があり、透明の便になれば検査ができます。検査は午後からになり食事は数日前から検査食となり前日夕食後より絶食となります。水分はお茶、水は可になっています。生検を行う場合もあります。専用のズボン、ガウンを着ることが多いです。検査後絶食となる場合もありますが問題なければ食事再開となります。胃カメラと同じように血液をサラサラにする薬やインスリン、血糖降下剤が中止になることもありますので主治医へ確認します。
注意事項
- 下剤、腸管洗浄剤を使用後は腹部症状に見舞われ、体調が悪くなることもありますので患者へ検査の流れをきちんと説明する。
- オムツ使用している患者や理解されていない患者については便もれの対策をする
- 腸管洗浄剤が飲めない場合は状況に合わせて内服していただき、検査の担当者とも連絡を取り合う
- 中止薬については医師に確認を必ず行う
- 便状の性状を把握しておく
最後
今回は病院で行い検査、VFと胃カメラ、大腸ファイバーについて載せました。検査方法は同じでも病院によって準備方法などは多少違いがあります。胃カメラの麻酔方法も個人に合わせて主治医が決めることなので医師に相談して決めることが必要です。中止薬も自己判断で中止せず、医師に確認しましょう。見ていただきありがとうございました。
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