ナース指導者が新人看護師に教える 採血や点滴時の血管探し方法
ベテラン看護師は採血や点滴での穿刺は1回で終わらせるようにしています。それは患者さんに負担をかけないため、自分の別の業務に追われているため時間もかけたくないことが理由として挙げられます。新人看護師さんも採血や点滴は回数を多く行えれば上手になると思っているかと思われますが、それとともに血管を探す方法も覚えておくとよろしいかと思われます。よろしければ参考にしてください。
採血での血管を探す方法
- まず上肢の肘正中皮静脈を探します。患者さんの手が冷たかったり、皮膚が厚い患者さんは見つけにくい場合があります。肘を軽く曲げて触ると血管の位置や太さがわかりやすくなります。肘を伸ばした状態で他の皮膚と違った弾力を感じる部分は血管の可能性があります。2、3本の指の腹で血管走行に合わせて触れて左右に細かく動かし確認します。目視でわからなくても触ってわかる場合が多いです。
- 駆血帯を穿刺部位より5〜10cm心臓側に巻きます。駆血帯は1分間いないと目安にしてその場から離れないようにしましょう。上肢に巻き、血管を再度確認します。駆血帯は皮膚上に直接巻くのではなく袖の上から巻き皮膚トラブルを予防しましょう。駆血帯の強さは締めすぎないようにします。強く締めすぎると毛細血管が破れて皮下出血を起こしたり、長時間圧迫することで神経感覚が鈍くなること、血流が悪くなる事があります。
- 寒い時期は患者さんの手が冷たく血管が縮んで細くなってしまうため血管の確認がしづらい状況となります。その際は温罨法で温めて血管を怒張させましょう。上肢の血管探しの際に痛点である神経付近(前腕の外側、前腕の内側、手背)は痛みを伴う場合があるため注意しましょう。
- 腕を心臓より下に下げることで腕に血液が集まりやすくなります。座位であれば心臓より低い位置に手台を置いたりベッドに横になってもらうことも状況によって行っています。
- 親指を中にして握ることもあります。腕の筋肉が収縮して血管が怒張しやすくなりmす。
- 手をグーパー繰り返してもらい静脈の怒張を促すクレンチングという方法もあります。
- 食事や水分が取れていないと脱水で血管が細く採血が取れない場合もあります。その際は主治医へ相談し動脈から穿刺する場合もあります。
参考サイト:ナース専科
点滴時の血管探し方法
点滴時の上記の内容と変わりはありませんが、肘正中皮静脈に点滴を行うことは少なく肘部は曲げやすいため漏れやすく点滴滴下不良を伴います。そのためまず狙うのは手首から肘側12cm以内を避けた前腕部の橈骨側、もしくは尺骨側です。
下肢の血管探し
- 上肢の動きが多く自己抜針する可能性が多い場合は下肢に穿刺することもあります。下肢の血管を探すには左右の歌詞を十分に観察して太く弾力のある血管を選択して行います。下肢からの採血や点滴は不潔になりやすく血栓形成の危険性もあるため避けることもあります。
- どうしても下肢から血管を探す場合、静脈の血液は末梢から中枢に向かって流れているため、できるだけ末梢から探します。下肢の点滴をする場合痛みを受けやすいため声かけしながら行います。また不潔にならないように考慮します。
高齢者の血管探しの注意点
高齢者は浮腫や皮下出血、皮膚の脆弱があり血管がわかりにくい傾向にあります。血管を探す際に血管を叩くと言う行為は血管の怒張は望めません。浮腫や肥満のある患者さんは皮膚の表面から血管までの距離が遠く血管がわかりにくい傾向にあります。また浮腫は針を刺すことで滲出液が排出される危険性があり皮膚トラブルの原因になります。そのため浮腫がある四肢の点滴は厳しいと言えます。また高齢者の血管は脆く針があたるだけ漏れやすく皮下出血になってしまったり、疾患によっては血管が硬く針を進めることもできない状況になる場合もあります。
高齢者の点滴の注意点
高齢者の点滴は持続的に行うことが多く、血管が脆くなり継続できなくなることもあります。その際は一時的に医師に持続皮下注射に指示変更してもらい、その間に血管を休めて血管を復旧させて1〜2週間後再度トライする。そのような現状もあります。長期に末梢の血管に点滴が行えない場合はC V(中心静脈栄養)に移行したり胃ろう増設に移行して点滴を終了するなど方向性も患者さんによって現状が様々にあります。
最後に
今回は採血時、点滴時の血管探しの方法を載せました。新人看護師は基本的な技術と解剖知識が共にないと実施できませんが1回で穿刺を成功するためには経験年数で勝ち得たコツが必要になる場合もあります。ベテランが血管探しや穿刺をどのようにしているのかを見学し学ぶこともとても必要です。まずは基本的知識と技術を学んでいきましょう。よろしければ参考にしてください。見ていただきありがとうございました。




