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ナース指導者が教える 実習で実際に役に立つ患者さんとのコミュニケーション方法

ナース指導者が教える 実習で実際に役に立つ患者さんとのコミュニケーション方法

私は病棟でも実習指導者をしており、基礎看護学実習での患者さんとのコミュニケーション方法について何度も指導していきました。今回は基礎看護学実習に対して行うコミュニケーション方法を実習指導の経験をふまえてお伝えしたいと思います。よろしければ参考にしてください。

基礎看護学実習とは

看護学校や看護大学での初めての実習は基礎看護学実習と言われ、初めて患者さんを受け持ちコミュニケーション方法を学びます。今まで身近でのコミュニケーション方法は無意識に行ってきたと思いますが実習ではそれを基本から学びます。初対面で患者さんとどのようにコミュニケーションをとっていくかをお伝えしたいと思います。

基礎看護学実習でのコミュニケーションとは

基本的にコミュニケーションとは人と人がお互いの考えや感情、情報などを伝え合う意思疎通のことですが、言葉だけではなく、表情、身振り、手振り、声のトーンなども含まれます。基礎看護学実習では患者さんと関わるためにはこれらの方法が必要となります。

コミュニケーションの種類

  1. 言語的コミュニケーション:言葉を使った意思疎通を行う方法、話したり、書いたり、手話なども含まれます。
  2. 非言語的コミュニケーション:言葉以外の表現による意思疎通を行う方法、表情、身振り手振り、声のトーン、視線などに考慮が必要です。
  3. 対人コミュニケーション:人と人との間での直接的意思疎通を行う方法。
  4. 組織コミュニケーション:組織内での意思疎通を行う方法であり、報告、連絡、相談がこれに当てはまります。
  5. マス・コミュニケーション:広範囲のでは人々に向けて意思疎通を行う方法。新聞、ラジオ、テレビなど。
  6. 内的コミュニケーション:自分自身との対話を行うこと。思考や反省など。

この中で基礎看護学実習で必要なコミュニケーションは言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションと対人コミュニケーションと組織コミュニケーションと思います。内的コミュニケーションは自己の反省などでは使いますが今回は省きます。

事例を通して

事例を通してわかりやすくコミュニケーション方法をお伝えしたいと思います。今回は基礎看護学実習と統合実習を例にして事例を考えました。

事例1

80歳男性、独居で暮らしていたが、糖尿病があり今回は糖尿病コントロールで一般病棟に入院する。看護学生はこの患者さんを受け持つことになった。

実習1日目コミュニケーションを行う流れ

実習1日目受け持ち患者が決まり情報収集、その後に患者を紹介する。患者に自己紹介を行い、初対面で少し会話を行う。日常生活などの情報を患者さんから収集する。言語的コミュニケーション方法としてはまずは患者に自己紹介をして自分の名前を伝える。初対面であるためまずは「看護学生の○○です。よろしくお願いします」となる。患者は看護学生が来て初対面で自己紹介を受ける。まずは服装や表情、身振り手振り、目線でその学生の印象を感じておりこれが非言語的コミュニケーションと言える。

実習2日目コミュニケーションを行う流れ

実習2日目は情報収集後患者さんとコミュニケーションを行う。その内容は自宅での様子や生活歴、疾患の症状や夜間眠れたかなどであり言語的コミュニケーションで情報をとる。環境整備や食事の配膳も全て言語的コミュニケーションが必要となる。実習2日目でもあり、患者と長く関わることで学生の印象にも慣れて関係性も少しずつできている。清潔ケアでも声かけが必要で相手に伝わる説明を行わないといけない。言語的コミュニケーションで伝わらなければ視覚的に説明を行い相手が分かるように伝える。

実習3日目以降でコミュニケーションを行う流れ

実習3日目以降は患者との関係性もできていることもあり、コミュニケーションも取りやすい、名前や顔や声で受け持ちの学生だと気づくことができる。ご家族の面会時も学生が来ていることでコミュニケーションができ会話が弾む印象、関係性もできている。

実習最終日

初めての実習で最終日はきちんと関係性もできており、本日で終了を伝えると「寂しい」と言われる様子もある。コミュニケーションがきちんと取れていたと感じる場面でもある。

解説

初日は初対面であるためまずは自己紹介で言語的コミュニケーションを伝い、声のトーンやゆっくり話すことで印象をつける。自分の名前を言葉で伝えるが名前だけ言っても高齢者は伝わらないため名前を見せて伝えることで伝わりやすいと言える。また服装や髪型できちんとしている人、身振り手振りで丁寧な人、目線を合わせて話すことで自分を伝えようとしている人と感じられ、高齢者の立場になって会話をすることで関わりやすい人と印象付けやすい。高齢者の場合は言葉だけでは伝わりづらいため非言語的コミュニケーションが必要となる。

事例2

90歳の女性、脳梗塞後遺症で右半身麻痺と失語症があり、目の瞬きで会話はできる。統合実習で受け持つこととなった。介護度5であり、ケアは全介助、食事は嚥下困難がありミキサー食となっている。時々むせあり吸引も行っている。

実習1日目コミュニケーションを行う流れ

受け持ち患者の紹介を行う、患者は失語症があるが目で瞬きでの会話はできる。声かけを行い、自己紹介に瞬きで返事をされる。非言語的コミュニケーションが主体の実習となった。介護度5であり、ケアは全介助、食事はミキサー食で嚥下困難がある。時々むせもみられ、吸引を行っているため看護師はケア時に患者さんへ声かけを行いケアを行っている。患者は瞬きで返事がある。

実習2日目コミュニケーションを行う流れ

看護学生は2日目の挨拶を受け持ち患者に行う。会話で情報収集も行うが瞬きで返事、統合実習のため優先順位を学ぶ実習であり、複数の患者を受け持っている。ケア介助で見学、見守り実施を行うがゆっくりコミュニケーションは行えず、食事介助の際に声かけしながら看護師が食事介助を行っている様子を見学する。受け持ち患者は学生の認識をされているのか不明であるが声かけには瞬きで返事はされている。

実習3日目以降でコミュニケーションを行う流れ

実習3日目看護師とともにケアを見守り実施する。声かけに仕方にも声のトーンや表情が入り自然にコミュニケーションが行えている。また初日でできなかった手を握りながら目線を合わせてのコミュニケーションを行い、受け持ち患者の表情は瞬きだけでなく少し変化が見られていた。こわばりから自然に目の動きも見られていた。

実習最終日

看護学生の声かえで受け持ち患者の表情が変わり瞬きも自然となる。手を握りコミュニケーションも行い、関係性もできる。看護学生の声掛けの仕方も自然に行える。

解説

この患者は言葉での会話は行えず、目で瞬きをして返事をしてコミュニケーションをとっていた。これは言語的と非言語的が合わさって行うコミュニケーションであり、最初は表情にこわばりがあったが最終日には自然な瞬きが見られ手を握って声かけをすることで意識もしやすく関係性も構築したのではないかと考える。

患者の関わり以外でのコミュニケーション

患者との関わり以外で行うコミュニケーションとしては指導者に対してや同僚、上司に対して報告・連絡・相談があります。これは複数のスタッフで行う中でのコミュニケーション方法としては必要不可欠できちんと行うことで業務がスムーズに進むと考えられます。業務を行う上で報告・連絡・相談を行うことで人間関係の構築もできます。また内的コミュニケーションとして自己の思考や反省といった自己の心と対面して行うコミュニケーション方法もあります。

最後に

今回は実習に役立つコミュニケーション方法について書きました。基礎看護学実習でコミュニケーション方法を学び、患者との会話方法や関係性を築くことがしっかりできるようになります。元々の性格で内向的である学生が患者と話すことで明るくなり、日常の人間関係も築くことが上手になるということも事例としてあります。実習は自分を成長させる方法だと指導をするたびに思い知らされます。今回の事例は私の経験から学んだ内容なので実際は違うと思われる方もいるとは思いますが少しでも参考にしていただけると嬉しいです。見ていただきありがとうございました。

別のブログで報告・連絡・相談について基礎実習についてを作っていますのでよろしければ見てくださいね。
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