ナース指導者が新人に教える短時間で点滴のルート確保をするには ベテランが上手になった方法
以前点滴のコツをお伝えしましたが今回は短時間でルート確保したい時の方法とベテランが短時間でルート確保できるようになった方法を教えたいと思います。新人看護師向けに書きたいと思いますのでよかったら参考にしてください。
点滴のルート確保とは
点滴には翼状針で一時的に点滴をして抜針する方法とサーフロ針またはスーパーキャスと言って針で血管に入れてその後針を除去して外筒を残す方法があります。サーフロとスーパーキャスは会社が違い、スーパーキャスは内針収納型の安全留置針で止血弁内蔵です。つまり針を抜いた際に外筒までしか逆血がなくルートを繋がなくても血が溢れてこないということです。ゆっくりルートを繋ぐことができます。また針刺し損傷防止付きです。サーフロはフッ素樹脂のカテーテルを使用しており適度なコシがあり穿刺や留置しやすいのが特徴です。輸血の時に使用することが多いです。
青の針先と下の持つところが外れます。血管に入れると逆血がありますが止血弁内蔵しています。また持つところにボタンがありそれを押すと内針はに引っ込み外筒のみ残ります。その流れに慣れておかないと時間はかかりますし血管に針が当たり漏れてしまいます。血液が破れて漏れないように太い血管を選ぶこと、血管はなるべくまっすぐな血管を選び、針の長さを考えて手前から針を刺すことをお勧めします。
針の種類はいろいろありますが太い血管は22G でルート確保し、細い血管は24Gを選びます。24Gの方が針も短いため血液漏れも少ないです。輸血は単独でルート確保しつまりは禁なため18Gから20Gを選びます。そのため針は太く長い、それを考慮して長くまっすぐな血管を選び針の長さを考え手前で針を穿刺します。
神経に当たらないように神経がたくさんある手首や関節部位は穿刺せず、前腕、上腕、手背、足は足背、下腿に穿刺することが多いです。きちんと痺れがないか、逆血はあるか点滴漏れはないかを確認します。
点滴中の注意点
点滴中は自立されておりトイレまで行かれる方はスタンドは動かせるものを使用します。今が病室の天井にフックがついておりそれにS字があって点滴をかけることもできます。敵下は主治医の指示で行いますが、指示がない場合は1日2本ある場合は1本を5時間程度で滴下します。その後2本目に繋ぎ、終了後抜針か生食20mlでロックします。次の日に何度も穿刺を行うと苦痛であるためロックし次の日漏れがなければそのまま点滴を繋ぎます。ルートは毎日交換、留置針の交換は以前は72時間ごとでしたが今は96時間以内に交換がCDCガイドライン推奨されています。漏れがある場合はその日でも交換します。
点滴を新人看護師に教える方法
新人看護師に点滴を教える際は血管の選び方を教えます。針の長さと血管の長さ、曲がっていては穿刺すると血管が破れてしまうなど細かく伝えます。新人研修で点滴や採血の基礎と人形に穿刺して感覚を掴みます。その後新人同士で穿刺しあいます。何度もしないと感覚は掴めないため、病棟でも先輩の手を貸して行うのが伝統です。先輩の手で完璧にできるようになったら患者さんに実施ができます。新人看護師は焦るため最初はできません。その時はベテランに交代します。4月に入職して今では交代してくださいと頼まれることも少なくなりました。認知症を持っている方や夜間せん妄の人は無理はせず点滴を行います。自己抜針した時点で主治医へ確認し中止指示をもらっています。点滴を抜いてしまう人にどうしてもしなくてはいけない時はスタッフ数名で行うこともあります。ルート確保できたあとは再度抜針しないように包帯で保護したり病院によっては抑制する場合もあるかもしれませんが、私の病院は抑制はしない病院なため包帯保護と点滴ルートを袖から出さず頸部や背中から出したり、ズボンの下から出したりと対策を行います。対策の仕方も新人と一緒に考えて行います。
なぜベテランが短時間でルート確保できるようになったのか
私は新人から看護師10年くらいまで点滴ルート確保は苦手でした。新人の頃によく言っていたのが「一回で点滴入ったラッキー。ついてる」などでした。自信がなく手が震えていました。採血も同様でしたが今では自立でしっかりされている方の前でも一発で点滴や採血の針を血管に入れることができます。いくつか方法を載せました。
短時間でルート確保の方法
- 手が震えないように手を温める・深呼吸
- 患者さんの血管をしっかり怒張させる
- 駆血帯をつけて腕をマッサージ
- 看護師の指先の血管の感覚を覚える
- まっすぐで太い血管を探す
- 前回穿刺した血管は避ける
- 患者さんが動かないように、別のスタッフに穿刺部位を固定してもらう
- 経験を積んで自信をつける
- 血管探しが短時間でできるようにする
手が震えないように手を温める・深呼吸
まずは手が震えないように手を温めておき、緊張するのであれば深呼吸もする。新人は緊張するためそれをなくすためにはどうするかは人によって違いがあると思います。
患者さんの血管をしっかり怒張させる
患者さんの血管をしっかり怒張させるには駆血帯をきちんと巻き、患者さんの腕や手が冷たいのであれば温めると怒張しやすい。採血の場合はお勧めします。
駆血帯をつけて腕をマッサージ
駆血帯は病院によって違いもありますがゴムよりバンドの方がしやすく、圧迫しやすい。ゴムは痛いし、すぐ取れます。また怒張させにくいように感じます。バンドは外しやすいのも採血や針の穿刺しやすさにも繋がります。また駆血帯をして腕を抹消から中心へマッサージすると血管が怒張します。
看護師の指先の血管の感覚を覚える
看護師は何度も採血を経験すると血管の弾力を覚えます。そのため短時間で血管を探すことができます。指先で触ると特にわかりやすいです。
まっすぐで太い血管を探す
針の長さによっては血管が曲がっていると漏れやすく、まっすぐで太い血管だと入る可能性が増します。針の選び方も血管の大きさに合わせて選びましょう。
前回穿刺した血管は避ける
前回穿刺して何日も経っても皮下出血しており血管ももろくなっています。なるべく別の場所を選ぶようにしましょう。高齢な方は血管は太いが皮膚が緩く、また血管が動くこともありますので血管は固定して穿刺します。血管に針が入っても壁にあたり漏れることも多々あります。針を血管に刺し少し浮かせながら外筒を進ませると入りやすいです。
患者さんが動かないように、別のスタッフに穿刺部位を固定してもらう
1人では患者さんが動いてしまい穿刺困難の方は他のスタッフに依頼し支えてもらい穿刺します。呼ぶことに躊躇すると思いますが短時間で終わるにはみんなの協力が必要です。患者さんの負担も減ります。
経験を積んで自信をつける
私は看護師10年くらいまで苦手でした。今では得意ですし、短時間で行います。失敗もしますが何回も行うことでコツを掴みました。血管を選ぶのも早くなり、丈夫な血管を選ぶことで1回で穿刺しルート確保をすることができます。
血管探しが短時間でできるようにする
血管探しを日頃から心がけるといいかと思います。患者さんだけではなく、周りにいる人や友達家族など見たり、触ったりすることで上手になりますし、短時間で血管を探すことでできるようになります。
最後に
今回は新人看護師へ短時間で点滴ルートを確保する方法を伝えました。ベテランは経験を積むことで上手に点滴や採血、その他の処置を行うことができます。私も新人の頃には先輩を羨ましく感じていました。上手なベテランがどのようにしていたのかをまじまじ見ていました。実際に見ることで覚えることもあるので自分で血管を触ったり、実践を積極的にすることで必ずできるようになります。頑張ってくださいね。
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