ナース指導者が教える 褥瘡とは デザインRとは 予防するにはどうしたらいいか
今は高齢化社会であり、入院患者さんは長期に寝たきりとなる傾向にあり、同一部位に圧がかかり、床ずれから褥瘡へ移行しやすいのです。褥瘡の仕組みからデザインRでの評価、褥瘡好発部位の褥瘡予防、取り組みについて書いていきたいと思います。
褥瘡とは
現在は超高齢化社会です。
褥瘡とは:臨床的には患者が長期にわたり同じ体勢で寝たきりなどのなった場合、体と支持面との接触局所で血行が不全となって周辺組織に壊死を起こすものを言います。一般的には床ずれと呼ばれています。
褥瘡の好発部位とは
仰臥位では
仰臥位(上を向いた体位)では褥瘡が起こりやすい部位は5ヶ所、後頭部、肩甲骨部、肘頭部、仙骨部、踵骨部
- 後頭部(頭の後ろの骨の出っ張り部分)
- 肩甲骨部(背中の骨突出部分)
- 肘頭部(肘のこと)
- 仙骨部(お尻の上の骨が出ている部分)
- 踵骨部(踵のこと)
側臥位では
側臥位(横を向いた体位)での褥瘡好発部位は後頭部、肩甲骨部、肘頭部、仙骨部、踵骨部
- 耳介部(耳の外側ベッドと重なる部分)
- 肩峰突起部(肩の骨の突起部)
- 肋骨部(ベッドにあたる肋骨部分)
- 腸骨部(腰の骨の出っ張り部分)
- 大転子部(足の付け根、股関節の骨が出っ張り部分)
- 踵骨部(踵のこと)
褥瘡のメカニズム
フリーラジカル:通常、分子内の電子は2つが対をなして安定していますがその電子が対をなさずひとつだけ離れて存在することがあるこのような対をなしていない電子(不対電子)をもつ原子や分子をフリーラジカルと呼びます。引用文献:厚生労働省https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-040.html
内的要因
活動性の低下(動かない)可動性の低下(動かせない)骨突出(やせた)全身状態・疾患の悪化・加齢・栄養状態の悪化
外的要因
湿潤・摩擦とずれ
褥瘡圧の仕組み
褥瘡の深さ判定
私の病院ではDESIGN-Rによる深さ判定をしています。
褥瘡の予防対策
褥瘡の予防対策としてこの3つがあります。
- 除圧
- スキンケア
- 栄養調整
除圧
自己にて体位交換はできる方は褥瘡はできません。褥瘡ができる方は自己での体位交換ができず長時間同一体位になることで褥瘡ができます。褥瘡の好発部位を除圧することが大事です。あまり体を動かさない高齢者や、知覚麻痺、運動障害、脳梗塞後遺症にて麻痺がある方、高齢に伴い栄養状態低下にてるいそう著明な患者さんがいらっしゃいます。一人で体位交換ができない患者さんは骨突出部(好発部位)が圧迫されることにより発赤や褥瘡ができやすいため除圧が必要です。除圧は骨突出部が浮くように枕を入れて好発部位を除圧します。2時間おきは目安ですが病棟では2時間おきに体位交換を行っています。最近はマルチグローブという外圧がかからない手袋を使用し体位交換を行なっています。
消える発赤・消えない発赤
発赤は除圧により消えるものと消えないものがあります。除圧により消えるものは改善しますが、除圧しても消えないものは注意が必要です。発赤が消えるように除圧を継続していくスタッフ間の協力が必要です。
スキンケア
スキンケアは尿失禁、便失禁、多汗の方だけでなく皮膚の清潔、保湿、保護があります。
保湿クリーム・ローション病棟で使用しているもの
保湿クリームは白色ワセリンは入浴後に使用しています。それでも乾燥がある方はアセチロール(尿素クリーム)、ヒルドイドローションなどを使用しています。なるべく入浴後や清拭後に塗布することで保湿され乾燥により皮膚のトラブル、皮膚剥離を予防できます。オムツかぶれも起こることが多いのでセキューラ、亜鉛華軟膏などを使用します。基本は洗浄して清潔に保つことが大事です。
栄養調整
栄養バランスも褥瘡予防には大事です。飲み込めない、食べられない人の場合は食事形態を考えたりする必要があります。医師や栄養士、誤嚥がある患者さんに関しては言語療法士の協力も必須です。病棟ではNSTという委員会があり、委員会内で栄養の状態をカンファレンスし捕食などを増やして栄養状態を整える会議があります。また褥瘡ができれば主治医へ報告し褥瘡委員会で他職種での取り組みを評価することが必要です。栄養士や皮膚科への相談や除圧のための方法をスタッフ間で話し合い、マットの種類を検討して変えたり統一した除圧をおこなったりしていきます。このようにして治癒を目指します。
最後に
褥瘡は今の超高齢化社会ではみなさんが知っていることで予防できることだと思います。そのためには長時間の同一体位を防ぐこと、皮膚トラブルの危険性として皮膚の乾燥はあるか浮腫はあるか、骨突出があるか、るいそうがあるかなどの観察を行い褥瘡になる前に気づき予防する必要があります。私の病院でも入院時に皮膚のトラブルがないかを確認し、看護計画としてあげています。看護計画としてあげることでスタッフが意識してケアを行います。これからも意識して褥瘡ができないような援助や観察を行っていきたいと思います。
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