ナース指導者が教える 血圧測定の基本と一回で測定するコツ
バイタルサインは看護師の基本、基礎実習でもバイタルサインは基礎から教えています。患者さんにあった方法で測定しきちんとした値で状態をアセスメントすることが大切です。今回はバイタルサインの中で難しいと言われる血圧測定の基本とコツをお伝えしたいと思います。
バイタルサインとは
体温や血圧、脈拍、呼吸数などの身体の生命活動や健康状態を示す指標です。生命の兆候とも言われており医療や福祉の分野で患者や利用者の状態を把握するために基本的な情報として活用されています。バイタルサインの測定は治療の効果や状態の変化、異常を早期に発見することを目的にしています。数値を見ることでどのような状態かを判断しアセスメントして異常があれば医師の指示をもらい、治療を行っていきます。正常と異常も知っておかないといけません。
血圧とは
血圧の基準値は診察室血圧で最高血圧が140mmHg未満、最低血圧が90mmHg未満、家庭血圧で最高血圧が135mmHg未満、最低血圧が85mmHg未満です。血圧は心臓から全身に送り出される血液が血管の内側に与える圧力を表します。正常血圧と高血圧の間は正常高値血圧や高値血圧と呼ばれ将来的に高血圧になりやすいと言われています。高血圧の診断は診察室の血圧と家庭血圧の両方が大きな役割を果たします。家庭血圧と診察室血圧にギャップがあった場合は家庭血圧を基準に血圧を下げる治療を行った方がいいとされています。
血圧測定
血圧は高血圧の発見の第一歩であり、きちんと測定し管理していく必要があります。高血圧と診断されると内服治療が開始となる場合が多く、高血圧から大きな疾患にならないように治療していく必要があります。
血圧測定方法
- 聴診方法と触診方法があります。座位または臥床してもらい測定開始します。
- 腕(毎回同じの方が測定値が変動しない左右差がある場合)
- 測定部位が心臓の高さになるように上腕を支持する心臓より高い位置にすると10mmHg程度低くなり低い位置にすると高くなる
- 上腕にマンシェットを巻き肘窩で上腕動脈の部位(マンシェット直下)に聴診器をあてカフを握ってマンシェットに空気を送り加圧する。
- 本人の以前の測定値を目安に高値までカフであげ血管の拍動(コロトコフ音)が聴取できる。その後聞こえなくなってさらに20から30mmHg上まで加圧する。カフを緩めてマンシェット圧を減圧(1秒間に2から3mmHg)する。
- 再び血管音が聴取できたメモリを読む。これを最高血圧(収縮期血圧)という。さらに徐々に下げていくと血管音が次第に変化し減弱し全く聞こえなくなる。これを最低血圧(拡張期血圧)いう。
- 触診方法は血管音が弱くて聴診方法で測定が困難な場合に代用する。
- 橈骨動脈の拍動に触れながら徐々に加圧していき脈が触れなくなったところからさらに20から30mmHgほど圧を上げる。圧を徐々に下げて再度橈骨動脈の拍動が触れるようになった圧を最高血圧の目安とする。触診方法では最低血圧は測定できない
注意すること
- 患者へのきちんとした説明を行う。
- 測定前にわかる方は自宅や病院での血圧値を確認しておく。
- 乳がんやシャント造設している患者はその部位では測定できないため情報を収集しておく。
- 皮膚トラブルも起こしやすいため皮膚が弱い患者はマンシェットを巻く際は直に皮膚の上ではなく薄い衣服の上に巻く。
- 拘縮がある患者は上腕にマンシェットが巻けないため手首の自動血圧計を使用するか下肢で測定する。
- 測定者の手指が冷たいと患者は驚くため対応時は手指を温めておく。
- 安静にした状態で測定する、座位をしている際に測定すると低値になりやすため配慮する。
- マンシェットはその下縁が肘窩の2〜3cm上でゴム嚢の中央が上腕動脈(拍動に感じる部分)にかかるようにして指が1〜2本入る程度に上腕に巻く。
- 麻痺がある場合は健側で測定する。
- 点滴をしている場合は反対側で測定する。
- 血圧の左右差がある場合もある
参考サイト:看護roo
血圧測定1回で測定できるコツ
まずは患者さんに負担をかけないように1回で測定を終わらせたいと思うと思います。そのために何をしているのかをお伝えします。
- 事前にカルテで普段の血圧値を知っておく
- 皮膚トラブルや拘縮、麻痺がないか血圧に左右差があるかの情報も必要
- 実習時に学生は見学をすると思うのでその際に上の情報を確認して見学すると理解しやすい
- 臥床して測定するか座位で測定するかも患者さんに合わせたり安楽を考えて行う
- 血圧の薬を内服している場合は血圧値が変動する場合があるため考慮しておく
- 聴診器やマンシェットの確認
- 患者さんの拍動の位置や強弱も知っておくと測定しやすい
最後に
今回は血圧測定方法の基本と、看護学生は緊張して聴診できず何度も測定してしまう様子も実習で見てきたので患者に負担をかけなくなるために1回で測定する方法を書きました。血圧測定は基礎実習から実施が始まり看護師になっても必要なことです。このブログを見てスムーズに測定できると嬉しいです。見ていただきありがとうございました。
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