ナース指導者が教える 戴帽式と基礎看護学実習で行う受け持ち患者さんとのコミュニケーション
看護大学や看護専門学校での基礎看護学実習では1人の患者さんを受け持ちコミュニケーション方法を学びます。初めて会う患者さんへのコミュニケーション方法はどのようにしているのかをお伝えしたいと思います。また実習に入る前に戴帽式と言われるナースキャップをもらう儀式がありますのでこのことについても知っていただけると嬉しいです。
基礎看護学実習と戴帽式
看護大学や看護専門学校では看護概論や基礎看護学技術を学んだ後に基礎看護学実習という病棟実習を行います。基礎看護学実習とは1、2があり、最初の実習の前に戴帽式と言われるナースキャップをいただく儀式があります。戴帽式はナイチンゲールの看護の精神を受け継ぐことで看護の道へ進む自覚と誇りを深めることを目的としており、教員からナースキャップをいただきナイチンゲールから灯りを受け取る、その後ナイチンゲール誓詞を朗読します。また学生が考えた誓詞を唱和する場合もあります。現在では男性看護師が多くいたり、ナースキャップが廃止されている病院も多くあり、戴帽式でキャップを被らない学校もあります。
戴帽式の意味
- 笑顔と慈しみの心を持ち患者さんに寄り添う
- 変化する社会の人々のニーズに応える
- 医療チームの一員として仲間と支え合いながら看護を学び続ける
- 知識を技術を身につけ人として常に成長し続ける
- 同じ夢を仲間と多大に助け合い、誠実に看護を行う
戴帽式の意味とは教員が学生一人一人にナースキャップを与え、看護師を志すものとしての職業に対する意識を高め責任の重さを自覚させることを目的としています。
ナイチンゲール誓詞とは
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われは此処(ここ)に集いたる人々の前に厳か(おごそか)に神に誓わん。
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わが生涯を清く過ごし、わが任務(つとめ)を忠実に尽くさんことを。
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われは総(すべ)て毒あるもの、害あるものを絶(た)ち、悪しき薬を用いることなく又知りつつこれをすすめざるべし。
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われはわが力の限りわが任務(つとめ)の標準(しるし)を高くせんことを努(つと)むべし。
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わが任務(つとめ)にあたりて、取り扱えたる人々の私事(しじ)のすべて、わが知り得たる一家の内事(ないじ)のすべて、われは人に洩(も)らさざるべし。われは心より医師を助け、わが手に託されたる人々の幸のために身を捧(ささ)げん。
ナイチンゲール誓詞とはナイチンゲールの看護に対する精神を基とし、医学に携わる看護師としての必要な考え方、心構えを示したもの
参考サイト:ナスレポ
ナイチンゲール誓詞の現代語訳
私は、私の生涯を清く過ごし、私の任務を忠実に行うことをここに集う人々の面前で厳かに神に誓います。私はいかなる毒あるもの、害あるものは一切断ち、有害な薬はどんなものも用いることなく、また知っていながらこれを人に与えることは致しません。私は私の任務の標準を維持し、高めることに全力で努めます。私は、任務に当たって私が取り扱った人々の個人的な情報の全て、職業上知り得た一家の私的事情の全てを人に漏らすことは致しません。私は誠実に仕事上の医師を助け、私の手に託された人々の幸せのために身を捧げます。
参考サイト:ナスレポ
戴帽式の思い出
私の戴帽式の思い出はナースキャップをかぶることができる感動とろうそくに火を灯り、学生全てのろうそくに火が灯りナイチンゲール誓詞を唱え、火を同時に消すという感動的なシーンでした。自分がなぜ看護学校に入学したかを思い出したり、これから実習が始まる緊張を感じていました。これは味わったものしかわからないと思います。ぜひ体験してください。
基礎看護学実習のはじまり
基礎看護学時実習が始まる前にオリエンテーションがあり、病院の仕組みや病棟の特徴の説明があります。オリエンテーションの流れは病院によって様々だと思います。緊張するため何度もオリエンテーションの内容を読んでいました。
病棟実習初日
病棟実習の初日は何もわからない状態であるのでまず初日にオリエンテーションを臨床指導者が行います。病棟の雰囲気はどうか、看護師さんは忙しいか、優しいか、受け持ち患者さんは受け入れてくれるかなど様々な不安がある状況です。指導者はそれをわかっているので、患者選定もコミュニケーションがとりやすい方を選びます。実習の受け持ち患者選定の際に了承を得られた患者さんに学生を紹介します。最初は受け入れ良好の方が患者さんなため会話もしやすく、コミュニケーションもしやすいと安心すると思います。最初は初対面であるため学生だけではなく患者さんも緊張をしますが毎日会うにつれて患者さんの笑顔も増えて関係性もできていく印象です。
コミュニケーション方法
実習でのコミュニケーション方法は印象を良くするためにはどうしたらいいかを考えることが大切です。最初の印象で関係性も築いていけるか決まります。
- 挨拶ができるか
- 身だしなみはいいか
- 口調は丁寧か
- 声のトーンはいいか
- 目線は合わせられるか
- 患者さんの病態に合わせて関われるか
- 話しを傾聴できるか
- 非言語的コミュニケーションも理解しているか(うなづき、笑顔、握手をしたり、軽く肩に手を添える、ゆっくり落ち着いた対応)
今までの生活で行ってきたコミュニケーション方法を看護学校で改めて勉強し、患者さんが無理をすることなくコミュニケーションをとり、関係性を築いていけることが大切です。患者さんの病状によってもコミュニケーションを今とるのか時間を考えてとるのかなど配慮も必要になります。自分だけの気持ちだけでなく患者さんに合わせてコミュニケーションを取ることが大切だとわかるようになります。
臨床指導者が学生に行ってほしいコミュニケーションとは
初めての実習なためコミュニケーションを取ることにも緊張しています。まずは挨拶、そして自分がどんな人かを自己紹介してわかってもらいましょう。わかってもらうことで関係性を築くことができます。自分を知ってもらうことで患者さんも自分のことを話してくれると思います。安心して自分のことを話してもらえるような関係性を築いていきましょう。
基礎看護学実習
基礎看護学実習はコミュニケーションだけではなく環境整備の見学実施、看護師が行っているバイタルサインの見学、処置の見学など行うことはたくさんあります。またそれをメモに取り記録に残すことも初めてだと思いますのできちんと学んだことを書けるにようにメモに取るようにしましょう。学んだのに記録できないと振り返りができません。
実習カンファレンス
基礎看護学実習1から実習カンファレンスを行います。カンファレンスとは実習で行った内容をみんなで情報共有することであり、自分が何を学んで何を思ったか、実習メンバーや教員、臨床指導者に伝えることも勉強します。これは看護師になってからも必要となることなため基本的な伝えることをしっかり行っていきましょう。
最後に
基礎看護悪実習は最初の実習であり、緊張すると思われます。緊張するのは患者さんにも伝わりますが毎日実習に行くことで関係性はできます。勇気を出して患者さんに関わっていくこと、積極的な実習にしていきましょう。今回の実習での反省は次回の実習での役に立つので落ち込む必要もないことも伝えておきたいと思います。よろしければ参考にしてください。
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