PR

ナース指導者が教える リンクナース感染リスク対策への取り組みとは

ナース指導者が教えるリンクナース感染リスク対策への取り組みとは

今回昨年病院での感染委員、リンクナースを1年間行いました。その取り組みについて書きたいと思います。

リンクナースとは

リンクナースとは医療施設の中で専門チームや委員会と病棟看護師をつなぐ(リンクさせる)役割を持つ看護師のことである。各病棟から1名ないし複数名がリンクナースとして専門チームや委員会と連携する。看護師と他職種とをつなぐ(リンクさせる)という役割も持つ

参考サイト:看護roo

リンクナースは日常の仕事をこなしながら病棟の感染対策を行っていきます。感染委員に属しているので病棟での感染状況、感染発生者数を委員会で報告し、病棟で対策をしていきます。また委員会では各病棟のリンクナースで感染勉強会を行い、病棟もその内容について研修を行います。各病棟にも感染係がいるので指示を行い、手指消毒の徹底、環境クロスや、手指消毒剤の消費期限を管理します。

感染委員会

感染委員には病院感染委員会看護感染委員会があります。月2回の感染委員会に参加しています。病院感染委員会は病院全体のもので他職種が参加しており他部署での感染報告をします。看護感染委員会は病棟での感染発生者数と感染患者の経過などを報告します。

病院感染委員会

病院感染委員会について詳しく下に図に表しました、ご覧ください。

 

感染委員会

病院感染委員会は毎月1回行われます。その中では院長の一言にて世間の感染状況などの報告があり、病院の感染報告にて各病棟の新規感染報告、検査課より院内での多剤緑膿菌についての報告、薬局での抗菌剤の使用状況の経過発表、その後他部署とで各病棟を周り院内感染ラウンドを行います。

看護感染委員会

看護感染委員会についても表にしました。ご覧ください。

看護感染委員会

看護感染委員会も月1回行われます。これは各病棟のリンクナース参加にて行われます。各病棟の新規感染報告とスタッフの針刺しについての内容報告もあります。手洗い実施報告は手指消毒の容器を病棟で管理しているので使用状況を集計し報告します。その後感染対策の病棟勉強会の内容を検討します。先に担当は決まっているので担当者が考えた勉強会の内容を委員会にて検討します。よければ病棟に伝達し病棟で勉強会が行われます。感染委員長は変更事項や統一事項の確認を行い、その後リンクナースで各病棟をラウンドしていきます。感染対策のチェックをしてできていないところは各病棟に伝達し改善してもらいます。

他病院との研修参加

一年間に数回、他病院の研修に参加します。これは毎年担当が指定され、今回は私が指定されましたので他病院の感染研修会に参加しました。大学病院での研修でしたが感染認定看護師が講師にて研修が行われました。感染の基礎知識、標準予防策、手指消毒、PPE、サーベイランスなどの内容でコロナ中でもあったのでとても勉強になりました。

標準予防策(スタンダードプリコーション)

各病院で行われている標準予防策(スタンダードプリコーション)とは、すべての患者さんに対して標準的に用いる最も重要で基本的な感染対策です。標準予防策の目的は患者さんと医療従事者の感染リスクの減少です。標準予防策には湿性生体物質には感染性があるとみなして対応し、湿性生体物質を介した感染から患者さんと医療従事者を守るものとして標準予防策を行います。

湿性生体物質

  • 血液
  • 体液
  • 汗以外の分泌物
  • 排泄物
  • 創傷のある皮膚
  • 粘膜

標準予防策内容

  • 手指衛生
  • 個人防護具(PPE)
  • 呼吸器衛生/咳エチケット
  • 患者の配置
  • 患者ケアに使用した器具
  • 環境の維持・管理
  • リネン類の取り扱い
  • 安全な注射手技
  • 腰椎穿刺時の感染予防策
  • 労働者の安全

引用サイト:看護roo

手指衛生

私の病院ではスタッフ一人に1つ手指消毒ジェルをもち、各部屋の前にもエタプラスがあります。部屋の入室退出時、患者処置前後には1から2プッシュして手掌内に擦り込みを行います。

手指消毒

個人防護具

個人防護具(PPE;personal protective equipment)とは湿性生体物質から身を守るために医療従事者が着用するものの総称であり、手袋、マスク、ゴーグル、フェイスシールド、エプロン、ガウンなどです。

つけ方:手指衛生→ガウン・エプロン→マスク→ゴーグル・フェイスシールド→手袋

PPEの仕方

外し方:手袋→手指衛生→→ゴーグル・フェイスシールド→ガウン・エプロン→マスク→手指衛生
PPE外し

手袋を外す時は表面は触らない。エプロンも外側を触らないように包み小さくして捨てます。マスクは耳にかけている部分を触りすべて感染廃棄物に捨てます。ゴーグルやフェイスシールドは外側はアルコールクロスにて拭きあげて乾燥させて使います。私の病院ではアルコールクロスは環境整備にて使用しているものを使っています。病院によって使用物品は違いますので確認してください。手指消毒の後手洗いをしっかり行ってください。

呼吸器衛生/咳エチケット

風邪症状があり、咳がある患者さんはマスクを使用しています。酸素を使用している方は状況にもよります。面会者は現在はマスクを使用していただいています。

患者の配置

何らかの感染があり感染力がある場合は個室隔離となります。個室隔離となることで接触予防策となり飛沫感染、空気感染、接触感染など感染の種類によって対応の仕方が違います。これも病院によって違いがあるので病院のマニュアルをご参照してください。

患者ケアに使用した器具

患者ケアに使用した後の器具は皮膚や衣服、周囲の環境を汚染しないように取り扱います。洗浄方法も病院によって違いますし、感染の種類によって対応の違いはあります。これも病院によって違いがあります。

環境の維持・管理

毎日ベッド上にて過ごし、床頭台やタンス上、ベッド柵、ベッドの隙間に埃や汚れが付きます。その環境整備を毎日行います。

リネン類の取り扱い

使用後のリネン類は埃が散らばらないようにできるだけ静かに取り扱います。廊下にも埃が落ちるのでカートにすぐ入れたり、ビニールに入れて運んだりします。

安全な注射手技

注射器・注射針・輸液セット、輸液バック(ボトル)を複数患者に使用することは禁止されており、使用済みの注射器を清潔な注射器やバイアル、薬液に接触させること、単回量バイアルやアンプルから複数の患者に薬剤を投与すること、単回量バイアルやアンプルの残った内容物を一つにまとめて別の患者に使用すること、注射用溶液のバックやボトルを同時に複数の患者に使用することは禁止事項です。

腰椎穿刺時の感染予防策

脊柱管や硬膜下腔にカテーテルを留置したり薬液を注入する時はサージカルマスクを使用します。

労働者の安全

採血時や注射施行時に針刺しを起こす可能性があるのでエプロン、手袋使用をしています。使用後の血液や注射器は感染廃棄物に破棄し、スタッフの感染を予防しています。私の病院でも一般ゴミと感染ごみを分けて廃棄しています。針は鋭利なものであり他スタッフを危険にさらすので別に針や鋭利なものを捨てる廃棄ボックスを使用します。リキャップはしないことを徹底しています。血液や体液からの感染源がある方は感染委員が表記しスタッフへの伝達を行い、感染予防を行います。

参考サイト:看護roo

サーベイランス

サーベイランスは感染症の発生状況を調査・集計することにより感染症の蔓延と予防に役立てるシステムのことである。各病院での取り組み方は違いがありますので割愛します。

病棟での取り組み

病棟では感染委員(リンクナース)と感染係がいます。病院感染委員会や看護感染委員会での決まった統一事項を病棟にて伝達します。また、毎月学習内容も看護感染委員会にて決定するのでその内容を病棟にて学習会を開きます。学習会はスタッフ100%を目指していますのですべてのスタッフに共有できるようにしています。

感染委員の仕事

  • エタプラス(手指消毒剤)の期限6ヶ月の確認、切れていたら破棄する。
  • 新規感染患者の集計
  • スタッフの手指消毒剤の使用個数集計
  • 汚物室や清潔区域の状況把握、改善できるものは改善する。
  • 鋭利なものを捨てる感染廃棄物の8割にて捨てる状況の確認、スタッフへの指導
  • 感染患者の表記(スタッフへの感染を防ぐため)→入浴場、ナースステーション、オムツカート、汚物室
  • 感染患者の個室隔離が発生した場合の対策、統一事項の表記
  • 感染勉強会の実施

感染係もいますので協力しながら行います。スタッフへの伝達が必須となりますのできちんと申し送りを行います。

最後

今回は以前リンクナースをしていた時の取り組みを書きました。毎年、感染状況も違いますし時期によっても違いますので再度研修も必要となります。私の病院でもコロナ中受け入れをしていたため感染に対ししっかり取り組みを行いました。ラウンドもコロナの場合は蔓延にてスタッフへ感染する可能性もあるのでラウンド中止になったこともありました。毎月ラウンドをすることでスタッフへの意識づけを行い、急遽感染が起きた時の対策も早期にすることができています。マニュアルも看護委員会にて見直しが行われていますので毎年時代にあった感染対策を早期にすることができます。マニュアルに対しては全部を周知はできていないので毎回感染が起きた時に再度勉強会を積極的に行っています。それぞれの病院によっても感染に対しての対策方法は違いがあると思いますので病院のマニュアルを確認していただくといいかなと感じております。

今回リンクナースの取り組みとしていますが画像など不慣れで見にくい部分もあるかと思います。感染対策についても足りないと思っています。少しでも参考になればと思い作っていますのでご了承ください。
見ていただきありがとうございました。
私が使用しているカーディガン、ポーチを載せています。よかったらご覧いただき、こちらから購入していただけると喜びます。

 

 

 

感染対策
スポンサーリンク
✳︎当サイトはアフィリエイト広告を使用しています