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ナース指導者が教える 看護師が行うインスリン注射とは 糖尿病とスライディングスケールについても教えます

ナース指導者が教える 看護師が行うインスリン注射とは 糖尿病とスライディングスケールについても教えます

看護師業務の中でインスリンは日常的に行っていることだと思います。しかしインスリンにはいろいろな種類があります。種類や実施方法など悩まれる看護師の方もいらっしゃると思いますので悩みが解決できるようにしていきたいと思います。

インスリンについて

  • インスリンを使用する際の疾患
  • インスリンの種類・作用
  • インスリンの使用方法
  • スライディングスケール

インスリンを行う疾患

糖尿病

糖尿病とは血液中に含まれるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気です。

原因

一型糖尿病:病気の種類によっても異なり、免疫の働きの異常によって生じる。膵臓がインスリンをほとんど、または全く作ることができません。よってインスリンを注射しなければなりません。

二型糖尿病:遺伝や生活習慣の乱れによって生じる。高脂肪、高カロリー、食物繊維不足の食事、運動不足、ストレス、睡眠不足、喫煙習慣などが関与していることがあります。膵臓はインスリンを作り出しますが量が十分でなかったり、作られたインスリンが十分作用しません。40歳を過ぎてから発症する場合がほとんどです。

糖尿病

 診断

血糖値:正常は空腹時血糖(早朝時の血糖110mg/dl未満食後でも140mg/dl超えることはあまりありません。空腹時でも126mg/dl、食後でも200mg/dl超えていれば糖尿病型と判断されます。

コントロール目標は空腹時130mg/dl未満、食後180mg/dl未満です。
HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー):正常者の基準範囲は4.6〜6.2%
コントロール目標はHbA1c7.0%未満
糖尿病の三大合併症

目:網膜症→失明

腎臓:腎症→透析

神経:神経障害→痺れ、立ちくらみ、不整脈

動脈硬化症

糖尿病患者さんでは動脈硬化が進行しやすく脳梗塞や心筋梗塞の発症率が3倍と高率です。動脈硬化により脳・心臓・四肢の中から大血管が傷害され脳梗塞・虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)・閉塞性動脈硬化症(下肢の血流低下)が起こります。動脈硬化には血糖のほか血圧、脂質、喫煙、肥満が関与し危険因子が重くなるほど動脈硬化は進行しやすくなります。

予防するには血糖、血圧、脂質、体重のコントロールと禁煙が必要です。
糖尿病の治療

治療

運動療法は食べ過ぎや運動不足から起こってきたインスリン抵抗性を改善することにあります。運動の行い方は主治医の指導のもとに行います。
食事療法は栄養士の指導のもと行いますが栄養バランスの良い食事を心がけます。
薬物療法は体内のインスリン不足を補うためにインスリン注射を行う治療と飲み薬による治療の2つがあります。薬物療法を始めて殻も食事、運動療法を続けていく必要があります。

インスリンの種類・作用

インスリンの種類:超速効型、速効型、中間型、持効型、混合型(超速効型または速効型と中間型を混ぜたもの)製剤に分類されます。

インスリン

インスリン注射

現在のインスリン療法はペン型の注射器を用いるのが主流。注射針は細く、痛みも少なくなっています。

①腹部(お腹)②上腕部の外側③臀部(お尻)④大腿部(太もも)の外側などが適しています。患者自身が行う場合は主治医から指示のある場所に注射します。看護師は腹部を行うことが多いです。皮下出血が起こることもあり、前回と違う場所にずらして注射します。

インスリンペンタイプは蓋を開けてアルコール綿花で消毒し針をつけます。針のつけた場所の空打ちを行い、液を満たし腹部にする場合は利き手でペンタイプのインスリンを持ち、反対の手で腹部の肉を掴み、アルコール綿で消毒後皮下注射します。10秒カウントし抜き針を外します。

インスリン注射時は低血糖に注意します。低血糖時は自覚症状がある場合もありますので低血糖時は主治医から指導された対処方法を行いましょう。

注射のコツ

  • 注射のコツとしてはきちんと皮下に吸収できるように注射すること(皮膚を掴み針を刺した後10秒数える)
  • 前日と違う場所に針を刺す
  • 針は短いので腹部に垂直に刺す
  • 刺した後はリキャップはせず専用の針外しを使用する
  • 安全に注射するために病院のマニュアルにそって行います

インスリン注射時気をつけること

インスリンを行う際に気をつけることは低血糖に注意することです。

低血糖の症状

  • 血糖値60mg/dl以下:異常な空腹感、体のだるさ、冷や汗、動悸、震え、熱感、不安感、悪心
  • 血糖値45mg/dl以下:眠気、強い脱力、めまい、強い疲労感、集中力の低下、混乱、言葉が出ない、ものが見えに          くい、時間や場所がわからない、元気がない、不安、抑うつ
  • 血糖値30mg/dl以下:意識もうろう、異常行動、痙攣、深い昏睡

低血糖を起こしやすい時

  • 食事の量が少ない、食事の時間が遅れた。
  • 運動量が多すぎる。空腹時に激しい運動を行った。
  • インスリン注射量が不適切。

低血糖時が起きた際の対処法

症状を感じたらすぐにブドウ糖(10g)、ブドウ糖を含む清涼飲料水(150〜200ml)砂糖(20g)などのいずれかをとり安静にする。入院されてなく、日常で車を運転されている方が低血糖になったら車を止めて上記の対処をしましょう。速やかに上記の対処方法を行い15分以上経っても改善しない場合は同じものを再度摂取します。インスリンの量があっていなかったり、薬があっていないかもしれないためかかりつけの病院の受診や入院している場合は主治医への報告も行います。血糖測定が自己にて行う習慣を持つことも必要です。

参考サイト:日本イーライリリー

スライディングスケールとは

入院中に血糖値が安定しないときに主治医指示にて血糖値に合わせてインスリンの値を変えてインスリンを施行すること。スケールの表は主治医が作っていますので各食事の前や眠前に使うインスリンの内容も違う場合がありますので注意が必要です。食前に施行する場合は速効性や中間型など個人の状況によって違います。眠前は持続型のものを使うことが多いのでそれを間違わないようにしています。インスリンの種類と作用を知っていないと低血糖を起こすこともあるので理解して使用することがとても必要です。

事例をふまえてどんな時に使用するのか理解しましょう

事例1:2型糖尿病患者自宅での血糖コントロールができず入院となる。入院後主治医指示にてスライディングスケールが開始となる。

主治医指示:各食前血糖測定   BG(血糖値)200mg/dl以下はなし

200〜250mg/dlでインスリンリスプロソロスター2単位

250〜300mg/dlインスリンリスプロソロスター4単位

300mg/dl以上でインスリンリスプロソロスター6単位

主治医指示にて各食前に血糖値を測定し、値にそってインスリンリスプロソロスターの単位を合わせて施行します。主治医もスケールにそってインスリンがどのくらい必要か理解でき、血糖値が安定したらインスリンは固定うちになります。

最後に

今回はインスリン使用での看護師が起こしやすい悩みや疑問について書いています。インスリンは指導も必要となりますのでしっかりとして理解も必要です。インスリンの名前も変わることもあると思いますのでその都度それがどの作用があるのかを確認しながら施行することをお勧めします。まずは安全に行うこと、低血糖を起こす危険もあることを理解しながら行っていきたいと思います。わからなくなったら基本に戻り私も勉強していきたいと思います。見ていただきありがとうございました。

インスリンの種類など、注射についての内容も別のブログでも書いています。また点滴の方法やコツについても書いていますのでよかったらご覧ください。

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