ナース指導者から学ぶ 点滴のコツとは 上手になるには
点滴は苦手の看護師が多く、特に新人は2、3回穿刺して入らない時は先輩スタッフへ依頼するようになっており、患者さんに苦痛を与えないように行う必要があります。今回は看護師が一番苦戦する点滴の物品種類、コツ、上手くなるにはどうしたらいいか、点滴滴下計算方法について書いていきたいと思います。
点滴の針の種類
体内に挿入する管のことをカテーテルと言いますが、点滴や静脈注射を行うために、腕などの静脈に挿入するプラスチック製のカテーテルのことを末梢静脈留置針(末梢静脈留置カテーテル)といいます。
針の種類
サーフロとも呼ばれています。
針刺事故防止機能付きの 静脈留置針もあります。
点滴針の太さは「ゲージG」という単位で表され、ゲージの値が大きいほど注射針は細くなる。
プラスチック製のカテーテルの中に金属針が入っており静脈内に挿入できたらカテーテルのみを残して金属針を抜きます。
抹消静脈留置針の利点と欠点
利点
短いカテーテルなので、挿入しやすい
欠点:
感染の為3〜4日で差し替え必要。
刺激の強い薬剤を流すと静脈炎を起こす場合あり。
血管が脆い場合血管を破る場合あり。
感染とは・・・細菌にて、発熱を起こす、針はすべて滅菌のものを使用
静脈炎の症状
疼痛、圧痛、赤斑、発赤、腫脹、浮腫、熱感、赤い索状、排膿などがあります。
静脈炎の原因
- 化学的静脈炎
- 機械的静脈炎
- 細菌性静脈炎
化学的静脈炎
輸液製剤における化学的な特徴が原因の静脈炎になります
化学的静脈炎の原因は2つあります
- 製剤のPH
- 製剤の浸透圧
機械的静脈炎
物理的な要因による静脈炎です
原因
血管内のカテーテルの移動(カテーテルの先端が血管内皮を傷つける)
不溶性異物の混入(配合変化による結晶、空気など)
細菌性静脈炎
刺入部に細菌や真菌が入ることによる静脈炎
原因
- 不十分な手洗い
- 不適切な消毒方法
- 不適切な挿入操作方法
点滴穿刺部位
静脈注射でよく選択されている血管は前腕の肘正中皮静脈、尺骨皮静脈、橈骨皮静脈です
手関節部分の橈骨皮静脈は橈骨神経浅枝が橈骨神経に近接しているため避けた方がよいとさてれいます
参考先:看護roo
患者さんの血管が細い方は指導者とともに血管探しを行い、指導のもとに実施となります。
点滴施行困難の場合は指導者が実施することも多いです。
お互い助け合って、患者さんに苦痛がないようにします。
静脈炎が起こった場合は主治医へ報告し点滴内容の変更を検討します。
アルコール綿にて消毒して穿刺しますがアルコールでまける場合もあるのでその時はアルコールではない消毒剤にて消毒して穿刺します。
挿入の進め方
挿入部位を決めて、挿入を進める際には、以下のような手順で行います。
①患者の上肢を確認する。
②最も末梢側の部位を選択する。(以前挿入された部位よりも中枢側を選択する)
③以下のような部位は、なるべく避ける。
- 屈曲した部位
- 静脈炎や輸液漏れのある部位
- 循環が悪く、うっ滞が強い部位
④駆血帯を巻く。
挿入部よりも10〜20cm中枢側に巻き、血管を確認する。
⑤血管が触知できない場合、患者に握り拳を開いたり閉じたりしてもらう。
⑥必要なら15分くらい四肢をあたためる。(血管が拡張し、緊張がとれるようにするため)
⑦刺入部位を低くして静脈うっ滞が起こるようにする。
点滴注意点
ルート確保の禁忌部位や避ける部位
ルート確保の禁忌部位や避ける部位
- 神経損傷のハイリスク部位
- 屈曲部位
- 下肢静脈
- 皮膚の異常部位
- 乳房切除側(腋窩リンパ節郭清後)
- 麻痺側
- シャント側
- 同日の穿刺部位
参考元:看護roo
下肢静脈
下肢静脈への穿刺
上肢にて穿刺不可能の場合
例えば・・・点滴を自己抜針される患者さん、上肢の血管が脆い、静脈炎あるなど
屈曲部位
手首や肘など屈曲した部分は曲げることによって針先が動く場合が多く、漏れやすいので避けます。
皮膚異常部位
皮膚のトラブルがある方はアルコールにてまけることも多く、軟膏も塗ることが多くテープも貼ることができない、テープを貼ることで皮膚が破れる場合もあるので避けます。
乳房切除側
患側は痛みが出現することも多く、感染なども起こしやすいので避けます。どうしても血管がない場合は医師に確認必要です。
シャント側
透析を受けている方はシャントを作っていることが多いです。
閉塞や狭窄を起こさないためにも避けます。
麻痺側
脳梗塞後、麻痺があることがあります。その際麻痺側は血管が細く、異常にも気づきにくいためなるべく避けます。(どうしても血管がない場合は医師に確認後行う場合もあります。)
同日の穿刺部位
同日一度穿刺した血管は漏れやすく、血腫を作りやすい。同じ場所を穿刺することで感染しやすく、患者さんにも痛みの苦痛を与えやすいので避けます。採血後の血管なども避けます。
ルート確保コツ
- 前腕に太く弾力性のある血管はないか。ある場合⇨穿刺
- 上腕に太い、弾力性のある血管はないか。ある場合⇨穿刺
- 前腕から末梢側に蛇行せずまっすぐな血管はないか。ある場合⇨穿刺
- 手背に太く、弾力性のある血管はないか。ある場合⇨穿刺
- 左右上肢穿刺しどうしてもない場合、動きが多く自己抜針繰り返す場合
⇨下肢検討(医師了承のもと)
- 下腿に骨や関節以外のまっすぐ弾力のある血管ないか。ある場合⇨穿刺
- 大腿にまっすぐな血管はないか。ある場合⇨穿刺
点滴ルート選び
穿刺前にルートを選んでいます。
輸液ポンプを使用する際も同じです。インスリンや時間設定が必要な場合は輸液ポンプを使用します。
点滴滴下数計算方法
私が学生の頃に比べると計算方法が簡単になりました。
私がしている方法とは
事例:500ml生食を5時間で落とす指示
(成人ルート使用 1ml≒20滴)
1時間でどのくらい落とすか計算 500➗5=100ml(1時間で100ml落とす)
1分間でどのくらい落とすか計算(1ml≒20滴)
100ml❎20(滴)➗60(分)=33,3333
1分間に33滴落とす 15秒では 10秒ではと自分がわかりやすいように計算
33➗4(15秒は60秒の1/4)=8,2滴
33➗6(10秒は60秒の1/6)=5,5滴
このようにしていました。
事例:生食500mlを5時間で落とす。
500ml➗300分(60✖️5のこと)❎20=33,333となる。
「1分間で33滴落とす」ということです
300分は60✖️5時間のことです 落とす時間5時間を分に直しました。
1ml≒60滴で落とす場合は
500ml➗300分❎60=100となります。
「1分間で100ml落とす」ということです。
参考文献:看護roo
最後に
今回は点滴について私の経験と実際を学びながら書きました。私も学ぶことが多く、今の点滴計算の仕方など勉強になりました。自分も新人がどのように学んできたかを知る必要があるので新しく得た知識を指導に使っていきたいと思います。見ていただきありがとうございました。
注射や点滴インシデント、点滴トラブル時の対処方法についてもブログを書いていますのでよかったらごらんください。
今回は私が使用している点滴計算機をのせてます。時計が必要なときもあるので、よかったらこちらから購入していただくとうれしいです。☺️
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