ナース指導者が教える 基礎看護学実習Ⅰで学んでほしいこと
今回は私が今年度行った基礎実習についての内容と指導者として学んでほしいことを書きたいと思います。看護学生さんは参考にしていただけたら嬉しいです。
基礎看護学実習とは
基礎看護学実習とはⅠ、Ⅱがあり、基礎看護学実習Ⅰとは看護学生が一番最初に行う実習となります。新カリキュラムになってから看護専門学校は1年生から実習を行う学校も多いと思います。私が指導を行っている看護学校も新カリキュラムになってから1年生に基礎看護学実習Ⅰが始まりました。入学して基礎看護学や看護概論などを学び、その後1週間のみ基礎看護学実習Ⅰで病棟に来られます。
基礎看護学実習Ⅰの目的
対象の療養環境を知り、対象を尊重した関わりや日常生活について考え、看護の基礎的能力を養う。
目標
- 病院環境、病棟、病室環境について理解する。
- 病院で療養している患者を理解する。
- 入院患者への看護活動の実際を理解する。
- 患者に合わせた日常生活援助の実際を学ぶ。
- 患者に関心を持ちコミュニケーションをとることができる。
- 看護倫理に基づき対処を尊重した責任のある行動が取れる。
- 臨地における看護学生としての適切な実習態度が習得できる。
実習オリエンテーション
看護学校1年生全体の実習オリエンテーションがあり、病院の特徴、病棟の特徴、各病棟のスタッフの特徴を説明します。その後指導者からの目標に沿って学んでほしいことを伝えます。
学んでほしいこと
コミュニケーション方法
コミュニケーションを基礎実習ではメインに学習しないといけませんのでコミュニケーションとは何か、どのようなコミュニケーション方法があるかは勉強してから実習に臨まないといけません。
基本的な実習態度
基本的な実習態度としては挨拶をきちんと行い、実習では学ばせていただきているという態度で臨む。積極的に質問などを行い、学ぶ姿勢も必要です。カルテからの情報収集も行いますので、きちんとした情報の取り方と情報を漏洩しないなどの取り組みも必要です。実習初日に病棟でも実習オリエンテーションを行います。細かな統一事項も守る必要がありますので学生同士で再確認することも大切です。
病棟の仕組み
病棟の仕組みも病棟のオリエンテーションで説明を行います。勉強した内容と実際はどうか、救急体制、チーム制であること、トラブルの内容、対応方法などの説明があります。
バイタルサイン測定(体温、脈拍、血圧、酸素飽和度)
バイタルサイン測定は基本的な患者さんの状態を知る方法です。看護学校で練習はしている内容を指導者にチェックしてもらい患者さんに実践します。
バイタルサイン正常・異常値
バイタルサインの正常、異常値を学んでいないと患者さんの状態を知ることができません。そのためこの値が正常か、異常かの判断ができるように事前に学んでから実習に参加しなくてはいけません。バイタルサインの測定後指導者に報告、連絡、相談もきちんと行います。
カンファレンス方法
カンファレンスは毎日行います。カンファレンスの内容は決まっていることが多いですが、カンファレンスの内容を指導者へ伝え、何についてカンファレンスをするのかを伝える必要があります。カンファレンスは学生全員が意見をいうことが前提ですのでその意見もきちんということができるように考えをまとめていないといけません。
身だしなみ
看護実習や看護師でも身だしなみは必要です。清潔感を持った服装、髪型、爪、靴、など指定された身だしなみを実習に臨むことが必要です。
規則的な体調管理
規則的な体調管理については毎日実習記録を書くことや毎日決まった時間に実習に取り組まないといけないことから体調を崩す看護学生もいます。規則的に毎日実習に参加することが求められます。
報告・連絡・相談の必要性
報告、連絡、相談は看護師には必須です。30人近くいるスタッフの中で業務を行う中では必要なことですのでそれを定着させるため看護学生の頃から行っています。
会話にてコミュニケーションをとることができる患者さんを受け持つのでその患者さんとコミュニケーションをとることができるようにどのように声かけをしたらいいかなどを学んでいただけるようにオリエンテーションで看護学生に伝えました。
実習オリエンテーションでの質問内容
オリエンテーションを行った後に質問を受けました。
- カンファレンスがうまくできるためにはどうしたらいいか
- コミュニケーションの方法
カンファレンス
- カンファレンスについてはまずは何について話し合うのかを明確にして指導者へ報告する。
- 各学生がきちんと考え意見を出すようにする。
- 意見に対して他者が自分の学びと照らし合わせて意見を言う。
- それを学生みんなで共有する。
- 指導者へ意見をもらい、カンファレンスでの学生の意見と実際の病棟での状況を照らし合わせる。
- 看護学校の先生にも意見をいただき、再度の学びやカンファレンスの進行状況を再確認する。
- カンファレンスでの司会進行をきちんと行い、学びのあるカンファレンスにしていく。
コミュニケーション方法
コミュニケーション方法には言語的、非言語的コミュニケーションがあります。初対面ではなかなか話すこともできないと思うので関係性を築くにはまずは自分を知ってもらうこと、毎日顔を合わせることを行い関係性を築くことが大事と思います。コミュニケーション方法については別ブログにて書いているので参照してください。
実習1日目
病棟での実習オリエンテーション
実習1日目は病棟での実習オリエンテーションを行います。病棟の仕組みやチーム制であること、感染対策、安全対策、患者選定、情報収集の仕方を説明します。病棟1日のスケジュールも伝えます。
固定チームナーシング
病院や病棟によっても違いがあると思いますが私の病棟は看護体制は固定チームナーシングとなっていますのでその仕組みを説明します。Aチーム、Bチーム、Cチームに分かれて患者さんの状態を観察します。
感染対策・安全対策
病棟での感染対策としてはインフルエンザやコロナ対策やその他の感染は何が多いかなどを話します。安全対策としては患者さんの転倒や離院に対しての対策、担送、護送、独歩の見分け方を説明します。
感染対策について安全対策については別ブログにて書いているので参考にしてください。
患者選定
患者選定は看護学生1人に患者さん1名受け持ちをつけます。看護学生メンバーで患者さんの疾患から決定します。その後カルテからの情報収集を行います。情報収集が終われば患者さんを紹介します。
看護師1日スケジュール
看護師の1日のスケジュールを説明します。これも別ブログにて書いていますので参考にしてください。
病棟案内
病棟の案内を行う時に口頭で伝えた感染対策や安全対策を実例を通して伝えます。一般ゴミ、感染ゴミの捨て方も伝えます。
環境整備
環境整備とは患者さんの生活するベッド周囲の環境を整えること。5S「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」をもとに行っていきます。安全も含まれるのでベッドにストッパーや椅子やテレビの位置、室温、湿度も項目に含まれます。看護学校で学んだことを病棟で実施していきます。実施する際に病棟での清潔・不潔の区別の仕方、ゴミの捨て方も再度説明します。ワゴンの清潔・不潔の使い方、エプロン、手袋の使用方法も説明し基本的な手洗いの方法も実践し指導者や看護学校先生がチェックします。
シーツ交換
入浴の回数も説明があると思いますが私の病棟では2回/日であり、最初の日にシーツ交換を行います。その実施も行います。シーツ交換をただするのではなく交換前と同じ状態に戻すこと、その後に環境整備をして掃除も行います。
実習期間
基礎看護学実習Ⅰの期間は看護学校によっても違いがありますが2023年度は5日でした。その中で目標に沿って実習を行います。
最後に
最後に基礎看護学実習Ⅰは最初の実習ですのでわからないことばかりです。指導者はそれを十分に知っていますのでわからないことはまず指導者に確認して充実した実習を行ってほしいです。今回の内容は病院や看護学校、看護大学など各機関で違いがあるのでそれはご了承ください。私が指導している看護学校での様子は別のブログにも書いているので参考にしていただけると嬉しいです。見ていただきありがとうございました。
報告・連絡・相談について別ブログにて書いていますので参考にしてください。
基礎看護学Ⅱ、基礎実習の不安や緊張についてもブログを作りました。よかったらご覧ください。
看護計画や全体像については基礎Ⅱで実践しますが、ブログを作っていますので気になる方はみてください。
また実習のカンファレンスについて、看護のやりがいはとても大事。良かったら参考にしてください。