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ナース指導者が教える看護研究の方法 教育委員での1年間の取り組み

ナース指導者が教える看護研究の方法 教育委員での1年間の取り組み

看護研究に取り組んでいる病院もあると思います。私も1年間教育委員として看護研究に取り組み、発表へと繋げることができました。今回は看護研究の始める方法と教育委員にて1年間どういう取り組みをしたかを書いていますので参考にしていただけると嬉しいです。

看護研究とは

看護研究とは、看護の質の向上を行い、患者さんにより良いケアやサポートを実施するために看護の基盤となる知識を洗練させ既存の看護学に新たな知識を創り出す活動のことです。看護研究の目的は「看護の質の向上」があげれられます。看護の質が向上すれば将来的な看護の発展に役立てられるだけでなく看護師1人ひとりのステップアップにも繋がります。

看護研究と業務改善の違い

看護業務改善は現在の看護業務で発生している問題を解決するための活動であり、スタッフの業務改善にて働きやすい状態にしていくことです。看護研究は現在の看護業務を科学的な視点で評価し新たな看護の知識を作り出します。看護研究にて得られた知識は今後の病院での看護の学びにつながることができます。全ての看護師の教科書となることができ、それを学ぶことで将来的に患者さんの役に立つことができます。

看護研究の進め方

    • 看護研究テーマを決める
    • 先行研究や文献を確認する
    • 研究計画書を作成する
    • データを収集する
    • 収集したデータを分析する
    • 研究結果を発表する

看護研究の進め方

看護研究テーマを決め

看護研究はまず研究テーマを決めます。日頃感じている疑問などをテーマにする場合が多いです。病棟での看護研究を行う場合は看護の疑問点をスタッフにアンケートを行い、その中での疑問点が多いものをテーマにすることが多いです。業務での疑問点がテーマに上がる場合もあります。

先行研究や文献を確認する

先行研究や文献を確認し重複したテーマで研究文献がないかを調べます。同じような研究内容でのデータを参考にします。

研究計画書を作成する

研究テーマが決まったら研究計画書を作成します。「研究計画書とはこのような考えのもとこのような方法で研究を進める」というような企画書となります。作成用紙は病棟での決まりがある場合もあります。

研究計画書

タイトル

タイトルには何を調べる・研究するかをシンプルに書きます。

諸言・序論・はじめに

①研究の背景:なぜこの研究にしようかと思ったかを書きます。

②研究に意義:なぜこの研究をする必要があるのかを書きます。この研究をするとどのような良いことが期待されるのかなど1から2文でまとめます。

③研究の目的:この研究で何を明らかにしたいかのかを書きます。

研究の方法

①研究の対象:どんな人・規模を対象に行うのかを書きます。対象者の決め方は、対象条件に当てはまる全員に行う「全数調査」と対象条件に当てはまる集団のうち一部の人を選び出す「標本調査」があります。標本調査はさらに「有意抽出」と「無作為抽出」などに分かれます。有意抽出は意図的に選ぶ方法で、無作為抽出は対象条件に当てはまる集団からランダムに抽出する方法です。

②データの収集方法:研究対象に対してどんな調査を行い、どんなデータを集めるかを具体的に書きます。どのような調査にするかなどは「研究デザイン」といいインタビューなどで調査する「質的研究」とアンケートなどでデータを集める「量的研究」があります。

③分析方法:集めたデータをどう分析するかを書きます。

倫理の配慮

倫理的配慮には研究対象者の個人情報、プライバシー保護などの倫理的な注意事項を書きます。

文献

文献の欄で詳細な書誌情報をリストにして記載します。

文献の記載方法(バンクーバー方式)

雑誌論文の場合:著者・論文タイトル・掲載雑誌・巻数(号数)・出版年・論文の始まりのページー終わりのページ

書籍の場合:著者(いる場合は編者)書名・第⚪︎版(初版の時は不要)・出版社・出版年・総ページ数

データを収集する

研究計画書を作成したら記載した方法に沿って必要なデータを収集します。データの収集方法は「質的研究」と量的研究」の2つがあります。質的研究とはインタビューや聞き取りなどの面接調査で対象者が語った内容を分析するという研究方法で量的研究とはあらかじめ配布したアンケート用紙から集まった回答を分析するという研究方法です。

収集したデータを分析する

質的研究・量的研究のいずれかまたは双方からデータ収集ができたら次はデータ分析を行います。分布を見て平均値を算出する、傾向や関係性を調査するなど、研究の目的に沿った分析方法を実施します。

研究結果を発表する

収集データの分析が完了したら研究結果を論文にまとめ、看護研究発表会にて発表します。多くの場合はパワーポイントにまとめてスライド形式で発表します。一目見ただけでも理解しやすいようになるべく1枚のスライドに膨大な情報量を詰め込まないこと、表やグラフを用いて論文作成を行うことがポイントです。

参考サイト:ナースプラス、看護roo

我が病院の看護研究

私は教育委員で、看護研究の担当をしていました。看護研究は毎年行われており、マニュアルもあります。毎年スタッフ2から3人、4病棟が参加を行なっています。研修としてその中で看護研究のことから学び、テーマを決めて、研究計画書、抄録、看護論文、パワーポイントの作成を行なっていきます。他大学の先生も参加されているのでわからない時は質問して問題を解決していきます。12月には発表できるように準備を行なっていきます。

看護研究

 

看護研究をする上で意図的なアンケートをデータとして収集しますが、何の内容についてデータをとるのか明確にしておかないとスタッフにも伝わらず、看護研究とあわないデータになる場合があります。そのため研究計画書にてどのようなデータ収集が必要かを明確にします。研究計画書をきちんと書いていればスムーズに看護研究も進めることができます。また協力してもらうスタッフにどのような研究にするのかを伝えておく必要があります。指導してくださる大学の先生にも相談しながら進めていきましたので看護研究の問題点は解決でき、看護研究発表へと繋げることができました。

最後に

今回は看護研究の基本から発表までを書いていきました。私の病院では毎年行われており、看護は改善できています。またスタッフの看護に対するモチベーションも上がってるのではないかと感じています。看護業務は忙しいですが看護研究に関わることで「看護」を改めて学ぶ機会をいただきました。看護研究の担当になる方や発表される方はこれを見ていただき参考にしていただけたら嬉しいです。見ていただきありがとうございました。

別のブログにて我が病院での感染対策についてや、夜間の安全管理について書いていますのでよかったら見ていただけると嬉しいです。

ナース指導者が教える リンクナース感染リスク対策への取り組みとは
私は看護師23年目、今は実習指導者、 新人指導をしています。リンクナースを一年していた時期もあり感染委員として院内や病棟で取り組みをしていました。私の病院でしている取り組みを書いていますのでよかったらご覧ください。
ナース指導者が教える 夜勤の転倒転落予防・離院に対する安全管理とは
看護師23年目ナース指導者が教える夜勤での認知症、夜間せん妄患者に対する夜勤の安全管理の方法を書いています。病院によっては安全管理のやり方に違いはあると思いますが参考にしていただけると嬉しいです。

看護師として働かれている方が多いと思いますのでもしよかったら見ていただくと嬉しいです。

 

 

 

 

看護研究
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