ナース指導者が伝える 確認ミスで起こりうる 内服インシデント・アクシデント対策 メンタル改善方法とは
看護師が業務を行う上で安全管理はきちんと行っていることですが、多忙な業務の中ではどんなに気をつけていてもインシデントやアクシデントが起こることはあります。それを起こさないためにどのような対策を行っているのか、また対策後のメンタル低下改善方法も書いています。
インシデント・アクシデントとは
インシデントとは
新人に限らず、ベテラン看護師でも起こりうることです。今回は内服のみに対してのインシデントを事例を通して伝えたいと思います。
インシデントの内容・事例1
看護師Bさんは夜勤中、ナースコール頻回にて対応していた。患者A氏は軽度認知症があったが自宅退院へ向けて内服は箱管理となっており、自分で内服したら空袋を残しておき、看護師が確認するようになっていた。多忙の中内服を確認するのを忘れており次の日の日勤にて看護師Cが確認すると夕食後薬2日分内服していることが発覚した。看護師C氏は主治医へ報告し、管理者へ報告、患者さんに異常はなく様子観察となった。
できていなかったこと
看護師Bは箱管理の患者に対して内服確認ができていなかった。
対策
箱管理の患者に対しては必ず内服確認を行う。軽度の認知症があり少しでも難しい様子がある時は1日配薬に戻して確実に内服できるようにしていく。
インシデント内容・事例2
患者B氏は時間指定の内服があった。15時内服となっていたが看護師Oさんは検査や委員会で不在、夜勤者により15時の内服を患者B氏が飲んでいないと訴えていることを報告される。主治医へ報告し今すぐ内服指示にて内服し、管理当直看護師へも報告する。
できていなかったこと
時間薬があることを忘れていた。自分が委員会などでその時間に不在である時は、同じチームのスタッフに依頼するが忘れておりできていない。
対策
時間薬がある際はタイマーを使用してきちんと時間に合わせて内服する。自分が不在の時は同じチームに情報共有し内服依頼する。
インシデント内容・事例3
患者Y氏糖尿病があり、各食前に内服があった。看護師Tさんは食事の配膳時に食前内服をさせるのを忘れていた。他のスタッフが配膳し患者Y氏は食事摂取をしてしまった。主治医へ報告、食後内服指示にて内服する。管理看護師にも報告する。
できていなかったこと
各食前の内服があることを自分だけが知っており、他のスタッフは知らなかった。各食前薬があると表示するカードが準備されていなかった。
対策
各食前薬がある場合には配膳時表示するカードを必ず準備(病院によって対策は様々)する。カードを食事におき担当者が配膳し直前に内服、その後食事摂取する。
アクシデントとは
アクシデントとインシデントの違い
厚生労働省の定義によれば日常診療で患者に影響がない謝った医療行為が発見された場合や影響が及ばなかった場合も「インシデント」とされます。一方で「アクシデント」は直接患者に影響があったミスを指し「医療事故」と呼ばれます。
参考サイト:厚生労働
アクシデント内容・事例1
新人看護師Kは夜勤勤務、ナースコール頻回、入院も来たため他スタッフの手伝いも行った。別部屋の同じ苗字の患者T1氏患者T2氏の部屋を受け持っており、ナースコール対応しながら配膳後内服を配っていた。(バタバタな状況で内服を配っている。)患者T氏は会話はできずネームバンドで確認し内服させないといけなかった。ナースコールが鳴っている為、焦りながら内服させる。気づくと患者T1氏に患者T2氏の薬を飲ませていた。内服の内容は就薬と胃薬であり、夜勤リーダーへ報告し、当直医師、管理当直看護師へも報告する。患者には異常なくバイタルサインも問題なし。当直医師も様子観察となった。
できていなかったこと
患者T1氏、患者T2氏の苗字が一緒でありネームバンドで確認をしたが同じ苗字であることを意識しておらずしたの名前まで詳しく確認していない。ナースコール頻回にて多忙で焦っており、確認不足であった。
対策
忙しい中では新人もベテランも焦るため急ぎではなければ落ち着いた状況になり、きちんと確認してから内服させる。忙しい時ほど何度も確認して内服させる。また、同じ苗字の方はなるべく遠い部屋にしてもらうのがいいが、状況によって近い部屋であったり同じ看護師がかかわる場合は、フルネームをきちんと確認し内服させる。内服の内容で影響をもたらすものもあるため自分が病態に影響を与えるものを内服させていることを意識して行っていく。
私が病棟で行っている内服確認事項
- 内服を確認しながら内服箱から出す。(月日、朝昼夕、前後、名前フルネーム)
- グループワークシートまたはカルテで再度内服を確認。(月日、朝昼夕、前後、名前フルネーム、錠数)
- 病室へ訪室し患者の名前をネームバンド、本人に名前を言ってもらい内服と確認。
- 月日、朝昼夕、前後、名前フルネームを再度声出し確認し内服していただく。
- 空袋を捨てる際に再度月日、朝昼夕、前後、名前フルネームを確認する。
6R確認事項
- 正しい患者:同姓同名、似たような名前の患者さんと間違えないように確認します。ネームバンドと本人確認します。
- 正しい薬剤:似たような名称、似たような剤形に注意します。同じ名称でも濃度の違う薬剤があります。
- 正しい量:指示された薬剤の単位を確認しましょう。内服では同じ薬剤でも1錠、注射では1アンプル、1バイアルあたりの薬物量は違うものがあります。
- 正しい方法:与薬方法により薬効が異なります。
- 正しい時間:指示通りの日時、曜日かどうか確認します。朝昼夕、時間も確認します。
- 正しい目的:何を目的にして薬の指示が出されているかを理解します。カルテにて確認します。
参考サイト:看護roo
インシデントやアクシデントを起こした後の対応
- バイタルサイン測定し、患者の状態の変化を観察。
- 主治医へ報告し指示を仰ぐ。
- 管理者看護師へ報告。
- ご家族へ報告。
- インシデント・アクシデント用紙記録。
- カルテにインシデント・アクシデント記録。(詳しく書く)
- 病棟でカンファレンス、対策を行う。インシデント、アクシデント報告書に追加記載。
- アクシデントが起きた時は時系列にて報告書記載する。
インシデントやアクシデント起こした際のメンタル改善方法
看護師は好んでインシデントやアクシデントを起こしてはいません。そのため一度起こしてしまうとメンタル低下してしまうのが現状です。その為インシデントやアクシデントを起こした際はしっかり報告書を書き、カンファレンスを行うこと。また、しっかり2度と起こさないように対策を守っていくこと。同じようなことをしないことが大事だと思います。それを身につけていくことできちんとできるようになります。自分がしてしまうことで患者さんに迷惑がかかることがないようにすることが一番大切であるので心がけることが大切です。メンタル改善するためには他のスタッフに相談することで意欲も出てくるので悩みは話すことをお勧めします。自分の中で抱えたままにすると落ち込むことが続くので改善しないと看護師を続けることができません。きちんと自分の中で対策をしてメンタルも改善していきましょう。あなただけではない、みんな起こす可能性があるのでみんなで解決しましょう。
最後に
インシデント・アクシデントは新人だけではなくベテランでも起こりうることです。一度起こすとメンタルは低下し看護師を辞めたくなります。それはみんな一緒です。その為自分以外の看護師がインシデント、アクシデントを行なった時にみんなで対策を考えていく必要があります。私もみなさんが看護師を続けることができるようにしっかりとした対策を考えて実践していきたいと思います。看護師という仕事は素晴らしい職業なので皆さんが働きやすいような環境になるようにしていきたいと思います。