ナース指導者が教える 小児看護学実習とは
私が行った看護学実習の中での印象が強かった実習の一つに小児看護学実習があります。その経験を今回は書いて皆様に伝えたいと思います。
小児看護学実習とは
看護学実習の一つで子供の成長発達、ご家族の関係を理解し、健康状態に応じて子供と家族が充実した生活を送るために必要な看護を学習します。病院実習と保育園実習があり、健康問題を抱える子供の看護と幼少期の子供の特徴や保育の実際も学びます。
病院実習
病院実習では子供の患者1人を受け持ち看護過程を展開します。先天性の疾患や小児特有の疾患を対象にして学習します。
- 気管支肺炎
- 急性咽頭炎
- 気管支喘息
- 急性胃腸炎
- 尿路感染症
- 川崎病
- 先天性心疾患
- アトピー性皮膚炎
- 膠原病
- 糖尿病
- 先天性代謝異常
- 慢性腎疾患 ネフローゼ症候群 IgA腎症
- 悪性新生物 骨肉腫 白血病
受け持ち患者さんの疾患の学習と、小児の特徴を学習して実習に臨みます。小児の病院実習は母親や父親との関わりも必要となります。小児だけの関係性だけでなく、親との関係性も必要となります。子供の成長発達も理解し日常生活の援助や病気や治療のサポート、精神的支援を行います。小児の発達段階も理解が必要です。
小児の発達段階
エリクソンが提唱した発達段階をもとにみると小児の発達段階が理解できます。
実習で行うこと
- 病棟オリエンテーション
- 受け持ち患児の紹介、患児・家族に挨拶を行う。
- 受け持ち患児の情報収集を行う。
- 患児に行われているバイタルサイン測定、ケアの見学を行う。
- カンファレンスを行う。
小児外来での実習
小児科外来へ行き、外来看護師に挨拶し実習目標を発表する。小児は外来にて予防接種や一般外来、乳児検診も行われる。身体計測、処置、家族への指導も見学を行う。一日見学後カンファレンスが行われる。
予防接種とは
大切な子どもがワクチンで防ぐことができる病気にかからないように生まれたら予防接種の予定を小児科と立てて実施します。
- 生後1ヶ月:検診時に小児科と相談し予防接種のスケジュールを立てます。
- 生後2ヶ月:4つのワクチンを同時に受けます。低月齢の赤ちゃんが感染すると重症化して入院や命に関わるためできるだけ早く接種することが必要です。(B型肝炎①ロタウイルス①小児用肺炎球菌①五種混合①)
- 生後3ヶ月:2ヶ月の4つのワクチンの同時接種の4週間後に同じワクチンを再び同時接種で受けます。②
- 生後4ヶ月:3ヶ月の4つのワクチンの同時接種の4週間後に次の3つのワクチンを再び同時接種で受けます。ロタウイルスワクチンは5価ワクチンの場合のみ(ロタウイルス③小児用肺炎球菌③五種混合③)
- 生後5ヶ月:BCGを接種します。
- 生後8ヶ月:B型ワクチンの3回目、0歳のうちに新型コロナワクチンを行う。
- 1歳0ヶ月:1歳の誕生日に(MR麻疹風疹混合①水痘みずぼうそう①おたふくかぜ①)
- 1歳0ヶ月から1ヶ月:小児肺炎球菌④四種混合④と五種混合④)
- 1歳3ヶ月:水痘(みずぼうそう②)
参考文献:KNOW-VPD
乳児検診
乳児検診は赤ちゃんが順調に健康に育っているか成長や発達の上で心配事や病気がないかなどをチェックし医師、保健師、助産師、栄養士などの専門家よりアドバイスをいただきます。
- 1か月検診:体の発育、運動発達、精神の発達、視覚や斜視に心配がないか、聴覚など。授乳の方法や状況、排泄状況などの日常の赤ちゃんの様子を伺います。またへその乾き具合や黄疸が消えているか、発育性股関節形成不全があるか、心雑音がないか、モロー反射の様子などを確認します。母乳の場合、ビタミンK欠乏性出血症による頭蓋内圧出血を予防するためにビタミンK2シロップを投与することもあります。産婦人科で行います。
- 3、4か月検診:体の発育、運動発達、精神の発達、視覚や斜視に心配がないか、聴覚など。首の座り具合、音への反応、肌の状態、先天性の病気がないかなどを確認します。目でものを追うか、音に反応するか、あやすと笑うかなどもチェックします。
- 6、7か月検診:寝返りお座りができるか、離乳食の回数などの確認を行います。またおもちゃへの反応や人見知りがあるかなど精神的な発達も確認します。
発達障害児支援施設実習
事前オリエンテーションを行い施設の見学を行います。また食事援助やケアの見学を行い、看護の役割を理解します。ご家族の関係性もご家族と子供達を見ると理解することができます。
保育園実習
保育園は子供達の発達段階を理解し、1日の様子を見学、保育士と一緒に園児と遊んだり、食事をしたりして発達段階を理解します。
カンファレンス
カンファレンスでは子供の関わりを通して気づいたこと、保険医療・福祉・教育との連携について、健康や発達に障害を抱える子どもが在宅で療養するために看護師ができることについて考え、話し合います。
最後に
今回は小児看護学実習についての内容を書きました。各学校で行うことに違いはあるかとは思いますが、少しでも参考にして実習に活かしていただければ嬉しく思います。見ていただきありがとうございました。他にも統合実習や私が看護学生や新人看護師に向けて書いているブログがありますのでよかったら見てください。
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