ナース指導者が教える 精神看護学実習とは
今回は私が経験した精神看護学実習についてお知らせしたいと思います。精神と聞くと戸惑う気持ちもあるかと思いますがこのブログを見て安心していただいたら嬉しいです。
精神看護学実習とは
精神看護学実習とは精神に障害を持つ人を総合的に理解し対象に応じた看護ができる基礎的能力と人間を尊重する態度を養うことを目的としています。
病棟実習
8日間の実習となり精神病院の病棟での患者を1人受け持ち看護過程の展開を行います。疾患の病態生理、治療、看護が理解できる。精神科病棟の構造、特殊性を理解できる。各種療法の目的、方法を理解し対象の反応を考えることができる。言語的、非言語的コミュニケーションを活用し情報収集ができる。対象の健康な部分。日常生活に影響を及ぼしている部分アセスメントできる。患者を支える家族の問題について考えることができることを目標としています。
病棟実習の内容
病棟の構造
病棟の出入りが自由にできる構造の開放病棟と出入り口が常時施錠され病院職員に開錠を依頼しない限り、入院患者が自由に出入りできない構造の閉鎖病棟があります。入院患者の処遇は患者の個人としての尊厳を尊重し、その人権に配慮しつつ適切な精神医療の確保及び社会復帰の促進に資するものでなければなりません。
閉鎖病棟がなぜあるのか
閉鎖病棟がなぜあるのかという点は刺激に反応して調子が悪くなり暴れて本人や周囲が怪我をしていまいそうな場合などで、隔離以外の方法では安全が確保できない場合などに行います。閉鎖病棟内の保護室(隔離室)は精神科入院治療において患者の安全の確保のために重要な役割があり病院ごとに工夫されています。
病院の1日の流れ
8:30 情報収集、申し送り、カンファレンス
10:00 処置準備と患者さんへのケア
12:00 昼食準備と配薬
12:30 休憩
13:30 カンファレンス
14:00 患者さんのケア、記録
16:00 夜勤へ申し送り
17:00 退社
精神病院対象疾患
統合失調症、認知症、躁うつ病など内服調整や自宅療養ができない方が対象となります。
森田療法センター実習
森田療法とは慈恵医大精神医学講座初代教授の森田正馬が1919年に創始した神経症に対する独自の精神療法です。入院は森田療法の伝統に従って4期の治療期間から構成されています。患者さんに担当の医師や臨床心理士がついて面接や日記を通した指導が行われます。
第1期:絶対臥褥期(7日間)その期間は食事洗面、トイレ以外は終日個室で臥床して過ごします。通常臥褥の後半から心身の活動欲が高まってきます。
第2期:軽作業期(5日間)臥褥によって高まった活動欲を一気に発散するのではなく庭に出て自然に触れ、徐々に必要な行動に向かっていくことが目標です。なおこの時期から日記指導が開始されます。
第3期:(重い)作業期(1から2ヶ月)この時期には動物の世話、園芸、陶芸など他の患者との共同で作業する場面が飛躍的に増えてきます。作業や生活の実践を通して症状にとらわれず臨機応変に行動する姿勢が培われていくのです。
第4期:複雑な実際生活期(1週間から1ヶ月)この時期は外泊を行うなど社会復帰の準備にあてられます。
参考文献:東京慈恵会医科大学
精神科デイケア実習
精神疾患のために生活のしづらさを抱えている方がその人らしい地域の生活を実現していくためのリハビリテーションの一つ一人一人の回復目標に合わせて作業やリハビリを行います。
就労継続支援施設見学
一般就労の難しい方や就労移行支援を利用したものの就職に結びつかなかった方が利用できる福祉的就労サービスです。事業所での職業訓練や企業から受託された作業活動を通じ働くために必要な知識や能力を高めて一般就労を目指します。A型、B型とありA型は福祉サービスとして支援を受けながら一般就労に近い職場環境で働くことができます。B型は年齢や体調などの面で雇用契約を結んで働くことが困難な方が短時間から就労できます。
参考文献:就労支援りたりこ
私が経験した精神看護学実習
私が経験した病院は精神科の病院、2箇所行きました。病院の鍵管理されていることや内服をきちんと行うことがとても大事であること、患者さんは入院時は閉鎖病棟にいた人も安定し職業訓練しデイケア利用し退院できる人もいれば退院後悪化して再度入院している人も多いと感じました。社会復帰するという目標を持ってみんなで取り組まれているように感じました。ご家族の受け入れも良かったり悪かったりと色々な状況に合わせた患者さんへの関わりが必要でした。男性の看護師さんが多く、運動会などの行事をされたり、レクリエーションにも力を入れている様子がありました。
最後に
今回は精神看護学実習について書きました。調べるだけではわからず、実際に病院や施設での様子を見てスタッフの取り組み方や社会復帰へ向けて取り組むことの大切さを感じることができます。思ったよりも楽しく患者さんと関わる様子もあり、実習前は不安に感じることもありますが実際見て新たにどのようなことをされているかを学んでほしいと思います。少しでも実習の参考になればと思っています。見ていただきありがとうございました。
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