ナース指導者が教える 不穏患者の精神的ケアと医師の協力
患者さんは入院すると治療で自由に過ごせず、夜間せん妄になることがあります。また高齢者の入院も多いため認知症で健忘も起こりやすく夜間不穏での対応をすることがあります。その際に看護師は精神的なケアが必要となり、医師の協力も必要となります。これらについてお伝えしたいと思います。
日勤での患者の状況
入院患者は高齢者が多く、急な入院で治療を行うに際し、ベッド上の生活になれず、内服薬の副作用の状況からも夜間せん妄が起きる場合があります。入院患者は高齢者の場合が多く入院すると理解していない場合もあり、その状況を患者さんに説明するところから行っています。夜間せん妄で内服調整を行いますが、あまりにも内服調整が必要な場合は精神科医師に診察していただき内服が開始になることがあります。まず看護師は患者に医師の介入が必要か判断し、主治医から精神科医師にコンサルトしてもらいます。精神科医師による内服が始まり、きちんと内服を管理します。内服で対応できない時、即効性が必要な際はセレネース筋注を行う場合もあります。全て状況判断で指示を医師に伝え行うことが多いです。夜間に内服を行う場合は効きすぎて食事摂取ができないこともありますので精神科医師へ報告し調整をしてもらい、日中は食事摂取し、リハビリを行い、夜間は入眠するという一定のペースにしていきます。
看護師が行える対策
看護師が行える対策として早期に主治医へ状況を報告し精神科へコンサルトを行います。患者に薬が合わず、日中も夜勤帯も入眠してしまい、食事が摂取できず点滴になってしまったり、リハビリが行えなかったりすることが内服調整当初にはあります。内服が合わず、患者の動き、不穏が著名でスタッフでの対応困難となりセレネース筋注を行うこともあります。看護師が行える対策としては、看護師から患者の情報を医師に伝えること、内服の効き目がどうか患者の状態を記録に残すことです。なるべく日勤帯では離床をして覚醒を促し、1日のリズムを作ることが大切です。
夜勤での患者の状況
夜勤帯はスタッフも2から3名で数十人の患者を見ています。その中で不穏患者の対応をすると他の患者の対応ができなくなる現状があります。そのため日勤帯のうちに内服調整をしてもらい、夜勤帯はぐっすり入眠していただくという流れが基本となっています。夜勤帯に内服がうまく効かず覚醒してしまい、転倒してしまうなども起こりうるため危険防止のためにベッド柵を3本にしたりベッドを壁付にして開いている側に緩衝マット、センサーマットをつけて起き上がり、足をおろした際にナースコールがなるように対策をしています。もし転倒があった際は様子を見るだけではなくきちんと対策を行うことが次の転倒の予防をすることができるということです。転倒をしたらインシデント、アクシデントという報告書を書き、その場で対策を変えることもありますが日勤帯でカンファレンスを行い、センサーの種類を変えたり、部屋を看護師のナースステーション近くにしたりとスタッフも対応しやすいように危険予測して対応をします。
看護師の対策
対策は患者に合わせたものですが、危険予測をきちんと行わないと転倒患者が増える傾向にあります。転倒すると高齢者は骨折することが多く、手術になったり、ADLが低下して退院できなかったりとなるため、早期に危険予測して対応するようにしています。またご家族へもきちんと説明し、なぜ精神科コンサルトして内服調整をしているのか知らせて理解していただく必要もあります。家族が理解していないと勝手に病院の判断で眠らせてるというように感じてしまうこともあるからです。病状説明も定期的に行い、患者説明を行っています。
不穏患者の精神的ケア
認知症がなくても入院中は不安になり「眠れない」と言われる患者がいます。それに対しては主治医に内服を検討していただき内服を屯用として使用します。眠ることも治療であること、精神的なケアとしても内服だけでなく昼間に話を聞いたり、少しでも不安解決できるように傾聴しています。スタッフと話すことで少しでも気分転換になってもらえるように関わりを持つようにしています。
医師の協力
主治医は入院時より患者の状態を知っており、看護師の情報提供により内服調整をしていただけたり、精神科へコンサルトしてもらったり協力的です。今の医師は優しく、協力的な方が多く、看護師も患者の相談が言いやすい環境にあります。精神科の医師も不穏患者や看護師の状況もすぐ理解していただけるので早期に内服や注射の指示を出してくれます。それだけで看護師も対応を早く行えるので患者も入眠することができます。
最後
今回は不穏患者の精神的ケアについて書きました。看護師をしていると必ず対応することでもあり、協力的に医療従事者が対応することでスムーズな対応ができることがわかります。薬を使うことだけが対応ではなく、精神的なケアとして傾聴したり、昔の話を聞いたりと患者本人が興味を持つ話をしたり、家族と話をしていただき気分が改善するように取り計らうこともあります。業務を続けることで対応の仕方はわかってくるので参考にしていただけると嬉しいです。見ていただきありがとうございました。
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