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ナース指導者が新人看護師へ教える 吸引の基本とコツ

ナース指導者が新人看護師へ教える 吸引の基本とコツ

看護師は患者さんが痰が増え、自分で排痰が行えないときに介助で吸引し痰を採取し検査に出したり、酸素飽和度を保つために定期的に吸引を行います。今回は新人看護師へ教える吸引の基本と実施するコツを伝え、実際の現場で活かすことができるようにしたいと思います。よろしくお願いします。

吸引とは

医療行為で鼻腔や口腔、気管内の溜まった痰や唾液、鼻汁などの排泄物を器械で吸い出して取り除くことです。患者が自己排痰できる際は行わず、自己排痰できない患者に行います。

吸引の目的

  • 気道内の分泌物を除去して患者さんの呼吸困難感の改善
  • 貯留することで感染をすることを予防
  • 痰貯留に伴う酸素飽和度低下の予防
  • 食事を誤嚥した際の食物の除去
  • 痰貯留に伴う咽頭貯留音改善
  • 痰培養検査に伴う清潔操作で採取

吸引するタイミング

吸引方法

吸引する方法は口腔、鼻腔、気管内チューブからの吸引があります。気管内チューブは口腔、鼻腔からの吸引が行えず、気管内チューブを造設した患者に行います。

チューブの種類

大きさ

成人は12fr、14fr使用することが多く、12frは細く出血しやすい場合や鼻腔などの細い場所に挿入する場合に使用します。14frは太く粘稠痰で吸引しにくい場合に使用します。

長さ

病院では40cmと50cmを使用することが多く、50cmは肺の下葉の方に痰貯留音が聞こえる際に使用します。

口腔吸引

口腔内からの食物や痰をチューブを使って器械に接続し吸引します。

口腔吸引の必要物品
  • 個人防護具(マスク・ゴーグル・ビニールエプロン・未滅菌手袋)
  • 吸引セット
  • 吸引カテーテル(成人では12、14fr使用しますが小児は10frなど小さいものを使用)
  • 通水用の水道水、もしくは蒸留水
  • 清浄綿
  • パルスオキシメータ
  • 手指消毒用アルコール
口腔吸引の手順
  1. ビニールエプロン、手袋、必要時ゴーグル、マスク装着する。
  2. 吸引圧を20kPa(150mmHg)以下に設定し吸引カテーテルと繋げる、カテーテルに通水させる
  3. 患者に声をかけm吸引カテーテルを口腔内に挿入する(吸引圧はかけないで挿入)。挿入目安は10から13cm程度
  4. 噛む場合もあるのでその時はバイドブロックやマウスケア時の指ホルダーを使用しそれを噛ませて吸引する。
  5. 唾液貯留確認後、10秒以内に吸引する。しすぎると出血しやすい、マウスケア後に痰の塊の貯留を確認をして吸引を行う場合もある。
  6. 吸引を終了し口腔内に出血がないか、痰が残っていないか確認する。
  7. チューブは吸引後清浄綿で拭き、通水する。
  8. 自分の指を噛まれないようにバイドブロックやマウスケア時の指ホルダーなど使用することが多いです。私の病院は通水ボトルは1患者、蒸留水を1本/日使用しています。清浄綿はアルコール綿を使用しています。

鼻腔吸引

口腔からの吸引が行えない場合に鼻腔からチューブを挿入し器械に接続し吸引します。

鼻腔吸引の必要物品

口腔吸引と同様です。

鼻腔吸引の手順
  1. ビニールエプロン、手袋、必要時ゴーグル、マスク装着する。
  2. 吸引圧を20kPa(150mmHg)以下に設定し吸引カテーテルと繋げる、カテーテルに通水させる
  3. 患者に声をかけ吸引カテーテルを鼻腔内に挿入する(吸引圧はかけないで挿入)。挿入目安は10から13cm程度
  4. 鼻腔は出血しやすいので12frを使うことが多い、粘稠な痰で吸引できない時は14frと大きくする場合もある。
  5. 圧をかけず気管内に挿入後、痰貯留確認後、10秒以内に吸引する。吸引行いしすぎると出血しやすい。
  6. 気管内に入りにくいため、頭部は挙上せず臥床のまま、必要時は気道確保のように肩枕を入れると気管に入りやすくなる。
  7. 吸引を終了し呼吸状態を確認、酸素飽和度も確認します。
  8. チューブは吸引後清浄綿で拭き、通水する。
患者が説明しても抵抗してできない場合もあるため必要時はスタッフ2名で行います。

気管内チューブからの吸引

気管内チューブというのは鼻腔、口腔内からの吸引が行えない場合に気管内チューブを挿入します。酸素飽和度も維持できない場合もあり、人工呼吸器を使用している場合もあります。開放式と閉鎖式の吸引があり、開放式気管内吸引は人工呼吸器の回路を外し気道を開放した状態で行います。気管内に挿管チューブが挿入されている場合と気管切開され気管内チューブが挿入されている場合の吸引があります。

気管内チューブからの吸引の必要物品
  • 個人防護具(マスク・ゴーグル・ビニールエプロン・未滅菌手袋)
  • 吸引セット
  • 必要時鑷子、今はチューブ内に付属してある滅菌の手袋使用する場合もあり
  • 吸引カテーテル(成人では12、14fr使用しますが小児は10frなど小さいものを使用)
  • 通水用の水道水、もしくは蒸留水
  • 清浄綿
  • パルスオキシメータ
  • 手指消毒用アルコール
気管内吸引の手順

気管内チューブに吸引ポートがある場合は2.5mlのシリンジを装着しカフ上部に貯留した痰、分泌物を吸引します。吸引圧は13〜20kPa(100〜150mmHg)。吸引ポートがない場合もあります。

  1. ビニールエプロン、滅菌手袋(開放式)、未滅菌手袋(閉鎖式)必要時ゴーグル、マスク装着する。開放式は1回吸引ずつ1本の滅菌吸引チューブを使用し、使用後は破棄する。
  2. 吸引圧を13〜20kPa(100〜150mmHg)以下に設定し吸引カテーテルと繋げる、カテーテルに滅菌精製水を通水
  3. 開放式の場合、患者に声をかけ吸引チューブに入っている滅菌手袋を装着後吸引カテーテルを気管内に挿入する(吸引圧はかけないで挿入)。閉鎖式はチューブが装着されており、それを気管内に挿入し吸引する。(閉鎖されているのでチューブは未滅菌手袋でも可能)
  4. 気管内は14frを使うことが多い。気管切開の場合チューブの長さは12〜15cm程度挿入。気管内挿管の場合挿管チューブの長さ➕1〜2cm吸引チューブ挿入
  5. 圧をかけず気管内に挿入後、痰貯留確認後、10秒以内に吸引する。しすぎると出血しやすい。
  6. 狭窄音など聞かれるときはネブライザー吸入し加湿をかけて吸引します。
  7. 吸引を終了し呼吸状態を確認、酸素飽和度も確認します。
開放式は滅菌手袋または鑷子を使用しますが、滅菌手袋が吸引チューブの中に入っているので私の病院はそれを滅菌手袋として使用し、鑷子は使用していません。使用後手袋と吸引チューブはは破棄します。

参考サイト:看護roo

吸引のコツ

  • 口腔、鼻腔吸引は抵抗される場合があるので声かけでも抵抗され安全に行えない場合は他のスタッフに抑えてもらいながら施行する。
  • 短時間での痰を吸引し患者に負担をかけないようにするため準備をしておく。
  • 吸引器械の整備もきちんと行なっておく。
  • 口腔や鼻腔の吸引後出血が見られる場合があるのでその際は時間を開けて吸引したりチューブの細さを変えて行う。
  • 気管内にチューブを入れて吸引しないとしっかり痰が排出されず、何度も行わないといけない。患者にも負担をかけるためきちんとした技術を習得する。実際に他のスタッフがどのように吸引しているかを見学して実施するとよい。
  • 気管内吸引は人工呼吸器を装着している場合や気管切開している場合、開放式、閉鎖式でやり方に違いがあります。病院のマニュアルに沿って行うことを心がけましょう。
  • 清潔操作を知らないとできないこともあるためきちんと理解して、清潔操作や鑷子の取り扱い方も理解しておく。

最後に

今回は吸引の基本とことについて書きました。吸引のリスクも理解した上でしないと患者に負担をかけてしまうためきちんと学習し実施しましょう。吸引は命を助ける手段の一つです、きちんと技術を習得し実践してくださいね。見ていただきありがとうございました。別のブログで胃ろうについてと培養についてのブログを載せています。よかったら参考にしてください。

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