ナース指導者が新人看護師に教える注射のバイアルとアンプルの違いと準備 希釈方法とは
病院では入職後新人看護師は研修がありますがその中でも注射と採血の研修が一番ドキドキすると思います。看護師にとって注射や採血は実技としては欠かせないものであり技術力が求められます。そのため薬液の理解と技術の理解が必要です。今回は注射のバイアル、アンプルの違いと準備の仕方、希釈方法についてお伝えしたいと思います。よろしければ参考にしてください。
新人研修での様子
新人研修ではいくつか項目がありますがその中でも注射や採血がドキドキする内容です。毎年新人研修の担当で関わることが多いのですが、準備の段階で採血のセット、22Gの翼状針とホルターつきの翼状針、採血スピッツ(数種類)、注射用の針(18G、23〜25Gの注射針)、シリンジ、バイアル、アンプル、抗生剤用の生理食塩水とメイン点滴のボトルを準備します。
採血のスピッツの種類と使用方法
採血スピッツは種類があり、一般的に真空管採血に順番があり採血時に使用する際は上記の順番でスピッツをホルダーに入れます。採血は血管に針を入れ逆血が確認してからスピッツをホルダーに入れます。これを研修で行います。採血は新人同士で行います。翼状針はホルダー付きと針のみがあり、針のみは血管が細く採血し辛い時に使用します。針のみの場合は針の後にシリンジ(注射器)をつけて使用します。
注射について
研修ではアンプルとバイアルの違いを説明します。バイアルとはガラス入れ物に薬液が入っており直接生食ツーポートと言われる生食100mlボトルに刺し抗生剤として使用する事ができます。アンプルは先を割って針付きのシリンジ(注射器)で吸い生食などのボトルに入れて、抗生剤や薬液として使用します。研修でアンプルの割り方、点滴ボトルへの注入の仕方、生食ツーポートの使用方法などを説明し実践します。
病棟での注射と採血のOJT
OJTとは新人研修後病棟での学習会を行います。病棟のマニュアルを見て病棟の特徴に合わせて勉強会を開きます。その際にどのような薬剤を多く使っているのかや病状に合わせての薬液の使用方法などを学びます。一般的に注射と採血の物品は病院で統一されているので新人研修と同じです。病棟でのOJT の後指導者が行っている実技の見学、見守り実施、自立とレベルがアップしていきます。採血は新人同士で練習後、手技に問題なければ見守り実施、自立と進んでいきます。
注射の種類
注射の種類は皮内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉注射と様々です。一般的には静脈注射であり、点滴も静脈に行います。持続的に点滴を行うと血管が脆くなるため静脈注射ができなくなる場合もあり、その際は皮下注射、筋肉注射へと移行します。また抗生剤などのアレルギー反応を見る際は皮内注射で行う場合がありますのでその際は皮内注射を行います。その手技は理解が必要です。
薬液の希釈方法と安全について
薬液はアンプルとバイアル、KCLなどは専用注射器などがあり、安全に希釈できるように薬剤も考慮されています。KCLは希釈しないと使えないため医療事故が起きないように配慮して作られています。どの薬液は希釈できるのかなど理解していないと大きな医療事故となりますので自分が安全に行うためにも薬液の効果と副作用は知っておかないといけません。またビタミンは遮光して点滴を行うことや安全のための患者と薬液の確認はPDAと言われる機械で確認し点滴のシールと患者があってるのかをダブルチェックして行うなど病院でも医療事故の予防に努めていることも研修やOJTで伝えています。希釈方法は清潔に行うこと、安全に行うことが重要です。病棟でも感染面からビニールエプロンとビニール手袋を使用しボトルの注入口のシールを剥ぎ再度アルコール綿花で拭き薬液を注入するなど病棟の感染対策のマニュアルもありますので理解していないと行えません。アンプルは薬液を下の受け口に落とし、上の折る側に何も薬液が入っていないことを確認して折ります。その後注射針のついたシリンジ(注射器)を安全にアンプルに入れ薬液を引きます。その後ボトル注入口をアルコール綿花で拭き注入します。この流れを理解しておいてください。薬液を準備する時には必ずスタッフ2名で処方箋とものをダブルチェックしていますがボトルに薬液を入れる際も声出し確認して注入して間違いを防ぎましょう。病院では安全に注射を行うために6Rの法則というものがあります。これも理解していただけるとよろしいかと思います。
6Rの法則
注射を行う上で安全に行うことが前提とされていますが、業務が多く、間違いも起こりやすいので、インシデント、アクシデント対策として6Rの確認事項が定められています。正しい患者ですか、正しい薬剤ですか、正しい量ですか、正しい方法ですか、正しい時間ですか、正しい目的ですか 。その内容を理解してこそ看護師として安全に業務が行えますし、命を守る事ができると思います。病院でも安全対策は多くされていると思いますのでマニュアルにそって安全に行うことはどういうことなのか理解して実践していきましょう。
インスリン注射について
インスリン注射は糖尿病の患者さんに使用しますが点滴にバイアルのインスリンから専用のロードースと言われる注射器で指示の単位を吸引しメインの点滴に注入、その後点滴を施行します。滴下量で血糖値が変動することもあり、注意が必要です。患者さんに食前に直接インスリンを皮下注射する場合もあり、その際は専用のインスリンミリオペンと言われる注射器で単位を合わせて腹部に皮下注射を行います。糖尿病患者さんは多くこれを理解することも必要です。
最後に
今回はバイアルとアンプルの違いと希釈方法についてをお知らせしました。新人の研修は基礎の内容で病棟ではマニュアルにそった病棟特有の薬液を使用した方法を教えてくれます。全て安全に行うことが大切で薬液の効用と副作用をきちんと理解して安全に行う事が求められます。私も今でも急変の場合など急な薬液を使用する場合はドキドキ困惑することもあります。基本は6Rの法則を理解して安全に実技を行っていきましょう。焦りは禁物です。見ていただきありがとうございました。




